浴室内にカビを発見した。
昨日までは無かったはずの場所にポツ、ポツ、ポツリだ。
これは、人とカビ菌との縄張り争いにも似た闘いである。
そのような内容のナレーションを脳内に流しながら、信頼を寄せているカビ取りジェルを、その一帯に塗り広げ半日放置することにした。
私がやることといえば、この作業とジェルを洗い流すこと、最後に熱湯をかけておくことだけなので、大半はジェルにお任せではあるのだけれど、脳内ナレーションのせいなのか、大仕事をやり終えたかのような達成感と共にリビングへと戻り、普段通りの1日が始まった。
浴室内は、どんなに丁寧に掃除や換気をしていても、思わぬところに黒カビが発生する。
防カビコートなどを施したこともあるけれど、その効果にも限りがあり、結局のところ人とカビ菌との縄張り争いになる。
それもそのはず、浴室内は毎日のように水分とカビにとっての栄養が届けられる上に、カビが繁殖しやすい湿度が程よく保たれる場所だ。
こんなにも居心地の良い場所をカビ菌が見逃すはずがない。
実際に触れることができない位置にある少量の栄養、ここで言う栄養とは、浴室掃除で完全に流しきれずに残ってしまった目には見えない皮脂汚れや石鹸成分などなのだけれど、
カビ菌は、この栄養がある位置まで菌糸と呼ばれるカビの手のようなものを伸ばして栄養を摂取するという貪欲さまで兼ね備えているというから厄介だ。
黒カビに対するスペシャルケアの効果をできるだけ長く保ち、普段は軽めのお掃除で済むような、何かいい手はないものだろうかと、お掃除のプロに尋ねたことがある。
ラクをしたいという下心が溢れ出ているような質問だったけれど、さすがはプロ。
熱湯を使うのもいいですよと返ってきた。
浴室内に発生するカビは熱に弱く、45℃以上の熱湯で熱せられると死滅するため、
スペシャルなケアでカビを落とした後は、火傷をする心配がない場所に限り60℃以上の熱湯をかけた後、浴室内を十分に乾燥させると、カビの増殖を大きく抑えることができるという。
最近のカビ取りジェルやスプレーは、カビの根っこまで取り除いてくれるものがほとんどだけれども、そこに熱湯除菌をプラスすると、スペシャルなお掃除間隔をあけることができるように思う。
そして、よりはっきりと効果を感じられたのは小さなカビを見つけたときである。
小さなカビであれば簡単に取り除くことができることもあって、ササッと通常のお掃除をして終わらせてしまうことが多いけれど、
小さなカビを見つけたときというのは、カビ菌が次のカビを作り始めたサインで、目には見えない菌糸を伸ばし張り巡らせて、栄養を摂取してやるぞと意気込んでいるという。
だから、このようなタイミングで熱湯をジュワーっとかけておくと、カビ菌を一旦リセットすることができ、お掃除の手間を減らすことができるのである。
これから少しずつ気温が上がり、カビ菌も活発に動き出す頃です。
熱湯による火傷にはぐれぐれも注意していただく必要がありますけれど、ナチュラルで強力なお掃除のコツとして必要なときにご利用いただけましたら幸いです。
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