その願いは、願うよりも早く叶った。
先日、『鮮魚とチョコレートのコラボレーション!?』のタイトルのもと、チョコブリという魚の話題に触れた。
チョコブリとは、人が口にするチョコレートを混ぜたエサを出荷前に与えられたブリのことなのだけれど、ひょんなことから、そのチョコブリを食べる機会が訪れたのである。
「これが、あの!」
それが私の第一印象である。
仕掛けを既に知っていることを差し引いてみても確かに身の色艶が良く、桜色を思わせるような淡いピンク色をしていた。
その色艶を前に、チョコレートに含まれているポリフェノールの効果は、なかなかのものだと思った。
一番気になっていたお味も、脂の甘味がしっかりとしていて美味しかった。
しかし、チョコブリの存在を知らぬ状態で「ブリです」とだけ言って出されたのなら、チョコレートの風味が全く残らないチョコブリから、その良さやバックグラウンドに気付くことはできなかったように思う。
そのようなことを思いながら、初めて口にするチョコブリを大切に味わった。
そうしていると、近くの席にいた方々の会話が耳に届いた。
会話の中心は、思い出せないことが多くて困るというものだったけれど、その場を包んでいた空気はネガティブなものではなく、聞こえてくる笑い声に思わず口元が緩んでしまった。
思い出せていたことや知っているはずのことを思い出せないとき、多くの方が年齢のせいのしてしまうことがあるけれど、
思い出せなくなった物事は、今の自分にとって必要なくなったものであったり、記憶しておくべき優先順位が下がってきたものだったりするという。
簡単に言うならば、どうでもいい内容なのである。
脳は未知の領域だと言われることがあるけれど、様々な情報にまみれて過ごしている私たちの脳は、大切な情報から順番に記憶に残していく作業を日々、行っているという。
そう言われて、思い出せなくなってきたことを振り返ってみると、興味や執着が薄れてきていることが多いようにも思う。
だから、このような状態そのものは、悪いことでも老化でもないのだけれど、大切なのはここから先の脳の使い方だときく。
脳は、私たちの意志などお構いなしに情報の選別作業を行っているため、私たちが忘れてしまった物事を再び「覚えておかなくては」と力んだところで、記憶しておくべき優先順位が低いそれらの順位が上がることは少ないという。
思い出せないことをそのまま放置してしまえば脳の老化に繋がり、「覚えておかなくては」と再度インプットしようとすると無駄になる。
だから、このようなときには「覚えておかなくては」ではなく「思い出そう」とすることで、それらが完全に記憶から抜け落ちてしまうことを防ぎつつ脳を若返らせることに繋げるといいそうだ。
でもどうやって?
以前私が、脳の仕組みに詳しい知人にそう尋ねてみたところ、前日の食事を全て思い出したり、女性であれば、自分が持っているお洋服を全て思い出してみる。
他にも、料理をする人であれば冷蔵庫や冷凍庫、食品庫などにあるものを、見る前に思い出してみるといった簡単なもので十分だと返ってきた。
そうすることが良いと聞いてゲーム感覚で何度かやってみたことがあったけれど、いつの間にか、そうすることに興味が薄れて今に至っていることを、近くの席で食事を楽しむ方々の笑い声を聞いて思い出した。
「思い出し作戦」を忘れてしまったということは、今の私には必要ないということだろうかと思ったけれど、翌日、思い出しついでにゲーム感覚で冷蔵庫の中を思い出してみることに。
今のところ私の脳は大丈夫そうであった。
それにしても人の体は自分が思う以上にハイスペックである。
「覚えておかなくては」で思うように覚えられないときには「思い出し作戦」などいかがでしょうか。
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