車窓から見える景色を眺めていると、戸建ての屋根の端に立派なシャチホコを飾っているお宅があった。
車窓内を一瞬と言ってもいいような早さで流れた景色だったこともあり、私が目にしたものが本当にシャチホコだったのかを確かめる術がないまま月日が過ぎた。
戸建ての屋根に飾られていたシャチホコのことなどすっかり忘れていたのだけれど、年始辺りに再び、車窓を流れる景色を眺めていると、体が、一度気に留めた景色だと覚えていたのか、シャチホコ少し手前からそのお宅の存在に気が付いた。
徐々に近づく屋根の飾りに意識を集中して通り過ぎると、今度は間違いなくシャチホコだと確認できた。
天守閣の屋根に飾られているような大きなものではなかったけれど、戸建ての屋根に飾るには十分すぎるほどの大きさをしたそれを見て、お城好きな方が住んでいらっしゃるのだろうかと想像した。
私の友人、知人たちの中にはマニアックな趣味を持っている人物がとても多いのだけれど、その中に城好きだと言う者が数名いる。
その中の一人に新年のご挨拶も兼ねて、この話題を振ってみたところ、城好きだという可能性もあるけれど、純粋に火災除けの守り神として設置している可能性もあると返ってきた。
お城のことに疎い私は、シャチホコが火災除けになる理由が分からず、遅ればせながらシャチホコというものを知ることとなった。
今回はシャチホコって何ぞや?というお話でございます。
ご興味ありましたら柊希の脳内整理を兼ねておりますけれど、話題をシェアしていただければと思います。
シャチホコと聞くと、海のギャングであるシャチを想像してしまうけれど、あのシャチとは別もので想像上の生き物なのだそう。
シャチホコを感じで記すと魚偏に虎、「鯱」と書くけれど、その姿は、頭は「虎」もしくは「龍」の形をしており、胴体は「魚」、体は鋭い棘で覆われており、胴体の先にある尾ひれは、空を突き刺すような勢いで天を向いているという。
そして、大きな口からは大量の水を吐き出すことができるため、火災が起きた時には口から大量の水を出して火を消すことができるという言い伝えがあることから、建物の屋根の両端に火災除けの守り神としてシャチホコを飾るようになったそうだ。
守り神というのであれば、見晴らしが良い天守閣の屋根の真ん中にドンッと大きなシャチホコを一つ飾っても良さそうだけれど、そうせずに、屋根の両端に一つずつ飾っているのは、シャチホコには雄と雌があり夫婦揃って一対だからなのだとか。
これまで、シャチホコをそのような目で見たことがなかったため、シャチホコを飾っているお城を目にする機会があった折には、今度こそ、じっくりと見上げてみようと思ったシャチホコトピックである。
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