イキイキと咲いている向日葵の前を通り過ぎた先で揺れていたのは、淡いピンク色をしたコスモスだった。
この時季にコスモスなど咲くはずがないという先入観が、そのピンク色を私に二度見させたように思う。
暖冬の影響によって冬を越してしまったのか、咲く時期を豪快に前倒してしまった結果なのか、この日、私が目にしたのは秋を象徴する花だった。
四季折々の花が一堂に会している様子を度々目にする今年は、季節感が麻痺してしまいそうだ。
目的地のショップへ到着して店内を見回ると、どこもかしこも「春」といった雰囲気で、桜モチーフや桜色をしたパッケージ、桜を使ったスイーツなどが並べられており、屋内は屋外よりも春が溢れていた。
この日の私のお目当ては、桜の花の塩漬け。
日本には様々な品種の桜があるけれど、塩漬けに使われるのは桜の中でも特に、香りと色がはっきりとしている八重桜の花なのだとか。
湯呑みやマグカップの中に春が広がる桜湯が好きで、この時季は、つい手が伸びてしまう。
桜湯と言えば、様々なお祝いの席で出されることがあるけれど、桜の花が2輪くっついたものは両家のご縁を結ぶ日に相応しいということで、結納の席の縁起物として使われることもあるという。
時折、人生の節目になるようなお祝いごとが無いから、桜湯を飲む機会がないという話を耳にすることがあるのだけれど、桜には様々な薬効がある。
特に、塩漬けにした桜は、塩漬けにしたからこそ出る香りがあるのだけれど、この香りの成分は二日酔いを和らげたり、咳を止めたり、体内の解毒をしたりといった働きをしてくれると言われているので、春を感じながら体内を整えるレスキュードリンクとして楽しむのもありである。
私には八重桜の花を大量に入手する術がなく手作りの経験はなく、専ら購入派なのだけれど、聞くところによると、桜の花の塩漬けは、非常に手間のかかるものだというのだ。
まずは、花が完全に開いてしまう前に摘み取らなくてはいけないし、
摘み取ったら後は、すぐに汚れやほこりを取り除き、更には一凛ごとに付いている小さなガクを丁寧に取り除くのだそう。
このような繊細な手作業をスピード勝負で重ねて漸く、塩と白梅酢を使って漬けることができるという。
シンプルに塩のみで漬けることもできるようだけれど、花びらが茶色く変色することを防いで、色鮮やかな塩漬けに仕上げるために白梅酢が使われているそうだ。
桜の花の塩漬けは、一年を通して入手することができるのだけれど、このようなことを知ると、もう少し丁寧に味わってみようという気にさせられる。
私は、お塩を水で洗い流した桜をお酒や紅茶に浮かべて楽しんでみようかと目論見中なのですが、湯呑みやマグカップ、グラスの中に見て感じる春も、なかなか風流であるように思います。
桜には五穀豊穣を司る神様が宿っているとも言われております。
春を感じつつ、今年の五穀豊穣と、自分や大切な方々にとっての五穀豊穣を祈って桜湯を召し上がってみてはいかがでしょうか。
そして、本日は春分の日で、暦の上ではまたひとつ、節目を迎えております。
様々なことがありますけれど、ホッと一息つくことも忘れずに、ここからまた気持ち新たに日々を楽しんでまいりましょうね。
ここへ足を運んでくださっている皆様に、良き風が吹きますように☆彡
関連記事:
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/