幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

通勤ラッシュ時の満員電車のように見えたあれ。

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昨年末、マネキンを乗せた業務用のカゴ台車が次々にトラック内へと運びこまれていく光景を目にした。

マネキンは、店頭で商品を説明、宣伝しながら販売する販売員や、そのような職種を指すことがあるけれど、ここで言うところのマネキンは、お洋服のディスプレイに使用される、等身大の人形のことである。

その日目にした光景は、さながら通勤ラッシュ時の満員電車のようにも見え、印象に強く刻まれたように思う。

その時、どうしてマネキンという名が付いているのだろうかと思ったのだけれど、推測するに、おしゃれなコーディネートを「真似」している等身大の人形というような意味だろうと勝手に片付けてしまったのである。

しかし、マネキンとの縁は既に結ばれていたようで、年が明けて間もない頃、必要に迫られてフランス語の文章を翻訳機能に頼りつつ読んでいると、マネキンはフランス語のマヌカンがもとになっていることに触れる機会が訪れたのである。

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マヌカンの意味は、私たちが使っているマネキンと大差なく、お洋服を身に纏って見せたり、お化粧品を使って見せたり、食品の試食をすすめたりと、様々な商品を宣伝し、販売する女性のことを

指すという。

それならば、わざわざマネキンと呼び変えなくてもマヌカンで良かったのではないかと私は思ってしまったのだけれど、

この言葉が入ってきた当時、マヌカンという言葉は、お客を招かないという意味の「招かん(まねかん)に聞こえるじゃないか、通じるじゃないかということで、

縁起が良い「招き猫」や「お金を招く」という言葉にあやかって、マネキン(招金)という言葉を作り、世の中に広めたところ、これが定着したようである。

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言葉や言葉の響きを大切にする国ならではの先人たちの拘りを誇らしく思うこともあるけれど、その中には駄洒落発想から名付けられているものも少なくはなく、このいい加減さと言うべきか、大らかさ、ユーモアセンスと言うべきか、これもまた知らぬ間に誇らしく思えてしまうのだから不思議である。

ちなみに、頭や腕、脚がある人形タイプのマネキンを目にする機会よりも、頭や腕、脚が無い首から下の胴体部分のみのタイプを目にする機会の方が多いけれど、こちらは、トルソーやボディと呼ばれているものである。

マンションのごみ捨て場にポツリと捨て置かれていたトルソーを目にして、そのようなことを年末の光景と共に思い出した日。

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