ガーデンテーブルで書き物をしていると、空に「天使のきざはし」が出ていることに気が付いた。
久しぶりに見る立派なそれに気持ちが弾み、作業の手を止めて立ち上がった。
「天使のきざはし」とは、太陽が雲に覆われているようなときに、雲の切れ間から光の柱がスーッと放射線状に地上に降りてきたように見える景色のことで、
「天使のきざはし」という呼び方以外にも、「天使のはしご」「天使の階段」「薄明光線」「レンブラント光線」と言った呼び方などがある。
「きざはし」の「きざ」は「刻む」という意味があり「はし」は「橋」と同じ意味なので、「天使のきざはし」は「天使を遠くに渡らせるための刻んだ橋」といったところである。
古では階段のことを「きざみばし」と言っていたようなので、この辺りも含んだ上で「天使のはしご」や「天使の階段」と呼ばれるようになったのではないかと思う。
この景色が現れるためには、太陽が雲に覆われる必要があり、更にその雲に光の柱を通すことができるだけの、適度な隙間があることも必要条件である。
空気が澄んでいた方が現れやすいだとか、適度な水分もあった方が良いといった話も見聞きする。
私は、天使が天界とこちら側の世界を行き来するための「はしご」や「階段」といった表現の方が、想像力を刺激されて好みなのだけれど、
そのような、いくつかの条件が重なったときに現れる現象なので、学術的な分野では「薄明光線」と呼ばれている。
もうひとつ、「レンブラント光線」という呼び名も挙げたのだけれど、この呼び名から、画家のレンブラントを思い浮かべた方がいらっしゃるかと。
彼は、光と影の明暗を使って表現することに長けた画家として有名だけれども、実は彼、「天使のきざはし」をとても気に入っており、好んで描いていたのだとか。
そこから、彼の光と影の明暗を使って表現する、彼ならではの技法が生まれたというから、好きなものを追い求めることは、自分らしさを開花させることへも繋がっているのだと思ったりもする。
古から人々を魅了する「天使のきざはし」は、学術的に仕組みを解明された今も尚、世界中の人々を魅了している景色である。
行動を制限されている方が多い、このようなときではありますけれど、普段は忙しくて見上げられなかった広い空を、この機会にのんびりと見上げてみてはいかがでしょうか。
もし、その神秘的な景色を見る機会がありました折には、天使のきざはし、天使のはしご、天使の階段、薄明光線、レンブラント光線、ビビッときたお好きな呼び名でご堪能あれ。
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