幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

何でもは巻かないと思っていたけれど。

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断捨離をしていたら、幾何学模様柄の化粧箱に入った何かが出てきた。

私の記憶には、それが何であるのか潔いほどに何も残っておらず、本当に私の所持品だろうかと一抹の不安を感じた。

預かりものかもしれないという考えが脳裏を過ったこともあり、その化粧箱を普段よりも丁寧に開け、今にも消えてしまいそうなくらい淡い色でプリントされた幾何学模様の薄紙に包まれているそれを取り出した。

薄紙を剥がすと小さな掛け軸が現れた。

どのような掛け軸なのか、どのようにして入手したものなのかといったことを何も思い出せぬまま広げてみると、色紙ほどの大きさをした何も描かれていない真新しい掛け軸であった。

きっと、外国に住む友人へのちょっとした贈り物として買っておいたものが、手元に残っていたのだろう。

自分の所持品だったことに安堵し、掛け軸をクルクルッと丸めた。

もうしばらく、手元に置いておくことに決めて片付けていると、「日本人は何でも巻くんだね」と言われたことを思い出した。

当時、私にそう言った知人は、ジャパニーズフェスティバルで食べた卵焼きや巻き寿司からそう感じたようなのだけれど、知人はそこに春巻きも加えていた。

当時の私が春巻きの歴史などを知っていれば、春巻きは中華料理であることを、それなりの説得力を持って説明できたように思うけれど、このようなシチュエーションは想定外だったこともあり、春巻きの話題には触れずにスルーした。

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それから、何年も経った頃である。

何かの読み物で春巻きのもとになる風習を知るのである。

なんでも、中国では立春の頃に小麦粉で作った薄皮に、様々な野菜を乗せて食べる風習があったのだとか。

これが後に、立春の頃に新芽を出す春野菜で作った具を巻いて食べるようになったことから、春食材を巻いて食べる料理、春巻きと呼ぶようになったという説である。

他にも、春は農耕が始まる時季でもあるので、農作物がしっかり育つような天候であるように、農作物をしっかりと収穫できるようにといったことを願う風習があり、

この時に食べられていたものが、春野菜を小麦粉で作った薄皮に巻いて食べるものだったため、春節に食べる巻物と言う意味で、春巻と名付けられたという説もあるのだそう。

今では様々な具材を巻くことができるバリエーション豊富な、馴染みある一品だけれど、元を辿ると春を祝うメニューということのようだ。

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私は韓国チャプチェを巻いて揚げる春巻きを作ることがあるのだけれど、気付けばワールドワイドな春巻きに仕上げていたようである。

あのとき、日本人は何でも巻くんだねと言われて、日本人は何でもは巻かないと思っていたけれど、十分に何でも巻いている。少なくとも私は……。

そう思いながら、小さな掛け軸を巻き上げた日。

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