幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

永遠と儚さを併せ持つもの。

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その日は、数年前に友人が贈ってくれた海外のインテリアブックを久しぶりに引っ張り出した。

素敵な写真が多数収められており、眺めているだけで気分が高揚する一冊だ。

眺める度に目が行くポイントが異なるからか、毎回、小さな発見を届けてくれる点も気に入っている。

この日は、さり気なく配置してある小ぶりなインテリア雑貨を手に取って眺めるような気持ちでページを捲っていたのだけれど、片手で持てるくらいの大きさの試薬瓶に目がとまった。

試薬瓶とは、化学薬品を保存するときなどに使用するガラス製の瓶のことで、カラスは透明のもの、濃いブルー、ブラウン、グリーンなどがある。

インテリア雑貨に使われていた試薬瓶は、試薬瓶の中でも口の部分が広いタイプのもので、ガラス製の蓋にはゴムのような素材が装着してあり、蓋をボトルの口にグイッと押し込むタイプのものだった。

レトロな雰囲気を纏う試薬瓶の中に入れられていたのは、褪せたミントカラーの紫陽花とお抹茶にミルクを注ぎ入れたような優しい色をした苔玉に、真っ白いタンポポの綿毛だった。

レトロな試薬瓶と植物として2度目の輝きを見せるドライフラワーの組み合わせは、落ち着いた雰囲気の中に肩ひじを張らない華やかさがあり、飽きずに飾っていられそうな気がした。

一瞬、繊細な綿毛状になったタンポポをどのようにしてドライフラワーに仕上げるのだろうか、と頭に浮かんだけれど、その疑問は素敵なインテリアコーディネートに掻き消され、その日は本を閉じた。

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それから数カ月ほど経った頃だ。

偶然目にした雑誌か何かの片隅に、小さくタンポポの綿毛をドライフラワーにする方法が載っていたのである。

タンポポの花は咲き終えた後、綿毛の準備をするために蕾状になる。

この綿毛の準備を始めたタンポポを摘み取り、茎の部分は短めに残してカットし、残った茎をWクリップで挟むそうだ。

こうするとWクリップが支えになり、タンポポを、上を向かせた状態で置くことができるという。

次にこのタンポポをガラス瓶の中に入れるのだけれど、カラス瓶の中には、お菓子の袋の中に入っている乾燥材(シリカゲル)を小袋から出して入れておくのだそう。

この瓶にタンポポを入れて蓋をすると、余分な水分を乾燥材(シリカゲル)が吸収し、きれいな綿毛のドライフラワーができるそうだ。

インテリア雑貨のようなものを作ろうと思ったら、綿毛を傷めずに取り出せるような容器を使って作るか、Wクリップやシリカゲルを他のドライフラワーで予め隠しておき、綿毛が開いたときに作品が完成するように調節する必要があるようだけれど、タンポポ綿毛のドライフラワーは、誰でも簡単に作ることができるようなのである。

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タンポポ綿毛のドライフラワーの作り方は、この方法以外にもいくつかあるようなのだけれど、本来であれば一瞬にして飛び立ってしまう綿毛を瓶の中でいつまでも鑑賞できるのは、とても贅沢なものである。

とても素敵なタンポポ綿毛のドライフラワーだけれども、時折、胸をきゅっと掴まれたような気持ちがするのは儚さを封じ込めているからだろうかと思ったりもして。

タンポポ綿毛のドライフラワーは、素敵さの中に永遠と儚さを併せ持っているようである。

タンポポを目にする機会がありました際には、タンポポ綿毛のドライフラワーにトライしてみるも良し、そのようなものがあることを思い出していただくも良し。

何かしらをちらりと感じていただけましたら幸いです。

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