幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

割れたボタンを付け替えながら眺めた「がまぐち財布」。

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表面を着物の帯に使われるような布地に覆われた「がまぐち財布」を持っている。

その名のとおり、本来はお財布として使うものなのだろうけれど、私はお気に入りの洋服に使われているボタンのスペアを入れて愛用している。

その日はシャツのボタンが割れてしまい、久しぶりに「がまぐち財布」をパカッと開けて指先でお目当てのボタンを探していた。

結局、いつものように早々に「がまぐち財布」をひっくり返して中身をザパーッとテーブルの上に広げたわけなのだけれど、何かの中に閉じ込められていたものを広いスペースに開放すると、普段とは少しだけ異なる魅力をまとっているように見える気がして、ついザパーッと広げてしまうのである。

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「がまぐちの財布」と言えば、私は数年前まで日本古来のアイテムだと思っていた。

しかし、どこぞやかで手に取った雑誌か何かにはヨーロッパから伝わってきた舶来品だとあった。

がまぐち財布が舶来品?と瞬時に思ったけれど、それはきっと子供の頃から旅先の土産もの売り場で度々目にする和柄の布地を使ったそれを目にしてきたからかもしれないとも思った。

このような話には幾つもの説が残されているけれど、私が頻繁に目にするのは、輸入業を営んでいた方がヨーロッパでの仕事中に、当時のフランスで流行っていた「がまぐち」タイプのバッグやコインケースに目を止めて持ち帰ったことが始まりだという話である。

その持ち帰ったバッグやコインケースからインスピレーションを得て、より日本らしい「がまぐち財布」が誕生したというのだ。

舶来ものであるならば偶然にも「GAMAGUCHI(がまぐち)」という言葉が外国にもあったのだろうかという想像もしたけれど、

ヨーロッパには「GAMAGUCHI(がまぐち)」と言う言葉は存在せず、バッグやコインケースをあけたときの金具部分が、大きく口を開いたガマカエルのように見えたことから、日本ではそれを「がまぐち財布」と呼ぶようになったそうだ。

また、当時の日本人も縁起担ぎが大好きであることは周知の事実。

「出したお金がお財布に帰ってくる(=帰る→カエル)となれば縁起がよろしい」ということで、「がまぐち財布」は財布の中でも特に縁起物として扱われ、今に至るようだ。

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今でこそ、手軽なお値段でも入手可能な一品だけれども、当時は金属が今よりも高価な材料であったり、その金属を加工できるだけの技術を要したりと、「がまぐち財布」をひとつ作るにも大変だったようで、持つことができる人が限られる高価なお品物だったとか。

キャッシュレス化が進む中、お財布の在り方も変わりつつあるけれど、「がまぐち財布」に限っては財布以外の使い道も多いため、自分好みのお好きなデザインに出会うことができたならば、ちょっとした収納ケースとして手に取ってみるのも面白いように思う。

「がまぐち財布」に限らず、目の前にあるものをどう活かすかは、いつだって自分次第。

そのようなことを思いつつ、割れたボタンを付け替えた日。

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