自宅近くにある小さな公の前を通ると、入り口付近に目立つトラックが数台止まっていた。
何事だろうかと気になり、公園の中を窺いつつ歩いていると作業員の方々がジャングルジムを撤去しているところだった。
ジャングルジムには角ばったタイプと、地球儀のように丸く、クルクルと回転するタイプのものがあるけれど、それは角ばったタイプのものだった。
随分と長い間、その公園で子どもたちを見守ってきたそれは、色が所々剥げており、表現し難い色、いや、ここは味がある色と言うべきだろうか。
そのような色をしていた。
それほど大きくはない公園ということもあり、そのジャングルジムは、公園のシンボルのような印象だったから、新しいジャングルジムが設置されたら公園もパッと華やぐのだろうと思った。
しかし、漏れ聞こえてきた、公園内を眺めていた方と作業員の方との会話から、新しい遊具を設置する予定はなく完全撤去とのことだった。
近年は、遊具の老朽化や思わぬ事故を防ぐ理由で、公園から遊具が姿を消していると聞く。
それはそれで、子どもたちが想像力や発想力を使って遊ぶことができる自由でもあるのだけれど、公園の風景が変わっていくことを少しだけ切なくも思った。
そう言えば、ジャングルジムは子どもの発育に良い遊具だと何かで読んだ記憶がある。
鉄骨をしっかりと握っておく必要があるため必要な握力が付き、更に腕や上半身を使って体全体を支えながら足を動かして登ることで体中の様々な筋肉の使い方を覚えたり、筋肉そのものが鍛えられたり、バランス感覚を養ったりできるのだそう。
しかも、落ちないように気を付けながら登ることから集中力や注意力なども同時に刺激されるという。
もちろん、ジャングルジムで遊ばせる際には、気を付けるポイントや危険性について教えたり、年齢によっては近くで見守るといった親のサポートも必要にはなるけれど、
遊んでいるだけのように見えて、その経験の中で得られるものは、見た目以上に大きいものであるようだ。
確かに、自分が子どもだった頃を思い返すと、年齢が低ければ低いほど、ちょっとした冒険レベルの時間だったようにも思う。
しかし、昨今。
ちょっとした怪我もさせてはいけないだとか、そのようなキッカケになるようなものは始めから設置しない方が、何かと安心だといった理由から、全国の公園から遊具が姿を消しつつあるという。
近年の子どもたちはライフスタイルの変化によって、運動能力が低下しているという話も頻繁に見聞きすることを思うと、昔ながらの遊具は時代に合わなくなってきているということも一理あるのかもしれない。
私の自宅近くのこの公園も例に漏れず、遊具を完全撤去する流れにあるようだけれど、増々、経験は財産になるのだろう。
たかが遊具と言う人もいるけれど、されど遊具なのである。
日常の風景から世の中を覗き見したような光景であった。
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