大切に味わっていたトチのハチミツが底をついた。
トチとは、栃の木のトチのことで、このハチミツはクセが少なくサッパリとした味わいで気に入っている。
ミツバチ一匹が一生涯をかけて集められる蜜の量はわずかティースプーン一杯程度だというから、私はどれほどの数のミツバチの一生をいただいたのだろうかと、空っぽになったカラス瓶を見て思った。
ハチミツと言えば、先日、ニュージーランド産のハチミツ「マヌカハニー」から、発がん性が疑われる成分が検出されたというニュースがあった。
マヌカハニーは、メディカルハニーとも呼ばれているハチミツで、いざという時にはケガや病気にも役立つハチミツである。
幸せのレシピ集内でも、幾度か登場しているハチミツなのだけれど、少しおさらいを。
このマヌカハニーは、一般的なハチミツと同様に抗菌作用が高く、酵素がたっぷり入っていることに加えて、医薬品として病気や怪我の治療にも使われる「MGO(メチルグリオキサール)」という成分が含まれていることが特徴だ。
このMGO(メチルグリオキサール)という抗菌成分が持つ抗菌作用の強さは、「UMF」や「MGO」などの文字と数字で記載されている。
例えば、マヌカハニーの容器に「UMF10+」と記載されていたら、10%のフェノール希釈液と同等以上の抗菌作用をもっているという意味。
フェノール希釈液というのは病院で殺菌消毒に使われる消毒液のことで、病院では2%のフェノール希釈液を使われているようなので、「UMF10+」という数値が、いかに抗菌作用が高い数値なのか分かるかと。
しかも、この成分は光や熱に強く、ピロリ菌に対しても有効。
他にも、キズ口や火傷などにも効果があり、口内炎、風邪、喉の痛み、扁桃腺炎、火傷、花粉症、アトピー、抗がん作用、ぜんそくや歯周病や虫歯予防もでき、歯磨きにも使うことができるので、ひと瓶あると重宝するハチミツだ。
希少価値が高いハチミツなので、一般的なハチミツと比較すると高価なハチミツではあるけれど、栄養価が高いだけではなく、とても万能な食品で健康面、防災視点から見ても心強いものなので、健康のために、いざというときのためにと手に取る方が多いハチミツである。
かくいう私も、普段は一般的なハチミツを使っているのだけれど、ここぞというときの効き目に惚れ込み、緊急時用のメディカルハニーとして常備している。
おさらいが長くなってしまったけれど、そのマヌカハニー。
今年に入り、コロナウイルス対策として、このマヌカハニーで体の内側から抗菌してしまおうと手に取る方が世界中で増えているという。
また、人々の意識が、出来るだけ体に良いものや自然のものを口にしようという方向へ向くようになっているそうで、マヌカハニーの輸出額も大幅に増えているようだ。
マヌカハニーは、ニュージーランドに自生するマヌカという花の蜜が原料となる。
そのマヌカハニーから、発がん性が疑われるグリホサートの成分が検出されたことがわかったそうだ。
グリホサートは、除草剤に使われている成分で、各国が使用禁止する方向で動いているものだ。
今回、検査対象となったのはマヌカハニーと、マヌカハニーが含まれているブレンド品で、その中の一部からグリホサートが検出されたのだそう。
幸いにもと言う表現が適切なのか判断し難いけれど、現時点では残留基準を超えたものはなかったという。
ハチミツにグリホサートが含まれていた原因は、ハチの巣箱を置いた近隣の農場や牧場で使われた除草剤がかかってしまった花の蜜をミツバチが集めてしまったからだろうということである。
ミツバチが悪いわけではない。
人間がしたことは、こうして巡り巡って人間のもとへ返ってくるのである。
そして、今回話題に上がったものがハチミツだったというだけで、似たようなことは私たちのすぐそばで起きているように思う。
きっと農薬にしても農薬の残留量にしても、そのほとんどの食材は、農場や牧場の方々のおかげで基準値を超えておらず、私たちが安心して口にできるものだろう。
ただ、私たちは基準値を超えてはいないけれどゼロではないものを、あれやこれや、時に間接的に少しずつ摂取しているように思う。
キレイな、見栄えの良いピカピカのお野菜は、確かに美味しそうで気持ちもよくて良いのだけれど、これからは、これまでとは少し異なる視点も交えつつ丁寧に選ぶことが、様々な健やかさに繋がるようだ。
小さな虫たちが安全に食べられると知らせてくれているうちは、まだ大丈夫。
知らせてくれる虫たちが全滅してしまったら……。
そのようなことを思いながら、我が家のマヌカハニーをひと匙、口にした。
ミツバチと自然からのお福分け、これからもありがたく大切にいただこうと思う。
【注意】はちみつは、1歳未満の乳児には与えないようにしてくださいませ。
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