幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

私も誰かに優しくしたくなった「お先にどうぞ」

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水炊きをするのに、ポン酢をきらしている事に気が付いた。
間に合わせの簡単自家製ポン酢を作ればいいかな?とも思ったのだけれども
外の空気も吸いたかったので
お散歩がてら近くのスーパーへ行くことにした。

時間が時間だったこともあり、スーパーの中は夕飯の買い出しをする女性で賑わっていた。
仕事帰りの方や、
ベテラン主婦の貫禄のある方や、
子供連れのママたち、
普段足を運ばない時間帯のお客さん層を肌で感じつつ
お目当てのポン酢売り場へ向かった。

お気に入りの、いつものポン酢はあったのだけれども、
味わったことのない、初めてのポン酢が目に入った。
「うん、今日はこのポン酢を試してみよう。美味しいといいな」
少しワクワクして手に取った。
そのすぐ横には、「一緒にどうぞ」と無言のアピールオーラを発している柚子胡椒があった。
お店の戦略か?!
上手いじゃないか?!
私はそんな作戦に簡単には落ちないわよ!
と思ったのも束の間、
私の買い物かごの中にはポン酢の横で転がる柚子胡椒の小瓶の姿があった。

私は急ぎでもなかったので
お客さん多いな~と思いつつ、何となく目に入ったレジの列に並んだ。
そしてレジ付近に置いてある、ちょっとした誘惑ゾーンに気を取られつつ順番を待っていたら
目の前の親子連れの小さな女の子が私の太ももをトントンと叩き、
「お先にどうぞ」と、
まだ滑らかとは言い難いが、とても愛嬌のある口調で言うのだ。

レジの方へ目を向けると、3つ程のかご、それぞれに山盛りの食材が入っている。
女の子のママも、私のかごの中で転がる2品を見て
「私たち、多いのでお先にどうぞ」と笑顔だ。
その言葉に続くように、女の子も「どぞ、どぉぉぉぞっ」と笑顔。

「急いでいないんですけど、いいんですか?」と確認し、
私は、とてもよく似た笑顔で頷く親子に甘える事にした。
しゃがんで、その女の子に改めてお礼を言うと、
今度は、恥ずかしそうにママの後ろに隠れてしまった。
私はママにお礼を伝え、
ママの後ろから半分だけ顔を覗かせた女の子に手を振り
その場を後にした。

私はとても嬉しい気持ちで胸が膨らんだ。
早くお会計が済んだという事ではなく
嫌味のない、まぁるい親切をこの家族からいただいたな、と。
きっと、お夕飯前のお買い物だっただろうに。
しかも小さいお子さんが居て、少しでも早くお買い物を済ませたかったに違いない。
その状況での「お先にどうぞ」とプライスレスの笑顔。

帰り道、こんな風にも優しさは繋がっていくのだな、と
私も誰かに優しくしたくなったこの日の水炊きには
いつも以上の愛情をたっぷり、たっぷり注ぎ込んだのは言うまでもない。
優しさって、まぁるいな。


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