幸せのレシピ集の中で巡るオトナの社会科見学
道すがらにあるお宅の玄関先には、ヨーロッパの庭園が似合いそうな天使のオブジェが並んでいる。 特殊なコーティングが施されているのか手入れが行き届いているのかは分からないけれど、いつ見ても純白の輝きを放っている。 他人様の玄関先へ、度々視線を向…
移動中に青い柿の実を見つけた。 青々としていたけれど、既に一般的な柿の実サイズにまで成長しており、あとはオレンジ色に熟すのを待つのみといった様子だった。 私の目は、その一個の柿の実をきっかけに木に生る実を次々に捉えはじめ、その木が既に柿の実…
家中の窓を開け放った。 風が、あちらから、こちらからと自由に吹き抜けていく感覚は、とても心地良い。 時折、バタンッと想像以上の音を立てて閉まるドアに驚くこともあるけれど、風が残した足跡のような気がして、不思議とイラつきはしないのである。 その…
ガーデンチェアでハーブティーを飲んでいると、焼き魚の香ばしい香りが風に乗ってやってきた。 その香りにつられた私の脳内には、ホッケの塩焼きを食べたいという思いが広がった。 そこに美味しい日本酒があれば、最高である。 英国暮らしをしいているときに…
最近、目にする機会が増えているCMがある。 CM内には「桃太郎は、あまりの暑さに川を泳いで行ってしまいました。かぐや姫は森林伐採で竹を見つけられず……人魚姫はゴミが邪魔で地上に上がれませんでした。物語が変わる前に、守りましょう、地球環境」とい…
引き出しの奥からずっしりとした重みの箱が出てきた。 重みを感じながら箱を開けると、お財布に入りきらないほどの量の外国コインが入っていた。 外国から帰国した際に、使いきれずに行き場を失ってしまった外国通貨は、ユニセフ外国コイン募金に寄付するこ…
お土産でいただいていたジャスミン茶の封を切った。 その瞬間に、お花畑にいるかのような香りと共に爽やかな緑茶の香りがキッチンに広がった。 もう、この香りだけで十分だと思えるほど贅沢な香りである。 もちろん、香りには好みや得手不得手もあるため、万…
明日は友人、知人、複数人の誕生日である。 年に数日、複数人の誕生日が重なる日があるのだけれど、4月8日はお釈迦様が生まれた日だと言われていることもあり、忘れることなくお祝いメッセージを届けることができているように思う。 聞くところによると、…
最寄り駅そばにあるリカーショップは、様々なジャンルのお酒を取り扱っている。 その中には、リーズナブルなのに、もう一度飲みたいと思わせる様なお酒も多々あるため、つい、宝探しをするような気分で立ち寄ってしまうのだけれど、その出会いは一期一会がほ…
冷蔵庫から取り出した牛乳をボウルに注いだ。 最後の一滴がぽたっとボウルに落ちた時、ミルククラウンが見えたような気がした。 あれは小学生だっただろうか、それとも中学生だったのだろうか。 もう、記憶が遠すぎて思い出すことができないけれど、理科の実…
やっと、いつまでもベッドの中の温もりに包み込まれていたい、そう思う季節になった。 眠い目を擦りながら、いや、私の場合は目を閉じたままなのだけれど、ちょっとした自分との闘いに勝ってベッドから抜け出すと、全身の毛穴が「さっむーい」と言って口をキ…
ここ数年間、気になっているものがある。 それの名はテンポドロップ。 透き通ったガラスによる美しい曲線を眺めているだけでも癒されそうなのだけれど、ガラス内に現れる様々な景色は、きっと見飽きることがない景色なのではないだろうかと想像している。 初…
道すがら、素敵な観葉植物が多数並べられているフラワーショップが目に留まった。 こんなところにフラワーショップなんてあっただろうかと思いながら、植物に吸い寄せられるかのようにしてお店のエントランスを潜った。 高い天井からは、おしゃれな照明器具…
普段フラワーショップで手に取る花は、存在感があるものがほとんどだ。 きっと、無意識に「せっかくフラワーショップで買うのだから」という気持ちが働いていたのだろうと思う。 しかしその日は珍しく、草花のようなものばかりに目が留まっていた。 それなら…
キノコ類が好きで、よくまとめ買いをする。 下処理を済ませて混ぜ合わせたミックスキノコを冷凍しておくこともあるけれど、 2日ほどで食べきることができる量であれば、サラダやバゲッドのトッピング材料として予め、少量のフレーバーオイルで軽く炒めてお…
受け取ることを避けたポケットティッシュをバッグの中にポンッと放り込まれた。 その日はバッグの上部がパカッと開いたトートタイプを使っていたのだけれど、そのタイミングの計り方、スローイング、一切の無駄が無い動きに感服し、思わず振り返って会釈をし…
オレンジ色の太陽が西の空に沈んだ後のわずかな時間、 太陽の雫が夜に溶け出したかのようにも見える残照が、辺りの雲を茜色に染め上げる様は、 紅葉のそれに負けず劣らず力強くて情熱的だ。 このような色合いの空を見ることができるのは、日没直後の数十分ほ…
お酒を嗜むようになって、しばらくしてからだ。 連れて行かれた小料理屋のお品書きに“占地”の文字を見つけたのは。 そのまま読めば“しめじ”なのだけれど、まさか、あのキノコの“しめじ”ではあるまいと思ったのも束の間、 そのメニューが運ばれていく様を目に…
収納庫の中に、置き場所が決まっていないものを入れておく仮保存ボックスがある。 先日の、夏越の大祓ついでに久しぶりに、その箱の中を覘いてみた。 プチプチに包まれた小さなそれを手にとり、中身を確認した。 それは繊細な木彫りで作られた一対の麒麟の置…
友人が差し入れに送ってくれたタブレットチョコレートと読みかけの本、 そして、大きめのマグカップに、たっぷりと注ぎ入れた紅茶を手に、ガーデンテーブルへ移動した。 梅雨時の雨上がりの空は、清々しい晴れ間とまではいかないけれど、 しっとりとした冷た…
至る所でワークショップが開かれている。 その内容は、幅広いジャンル、カテゴリーのもので、 興味と一歩を踏み出す為の、ちょっとした勇気さえ持てたなら、 誰でも、知りたいことを知りたいだけ知ることができる環境が、私たちのすぐそばには在る。 先日通…
ヨーロッパ旅行から帰国した友人が、空港に到着するなり1通のメールを送ってきた。 旅の土産話か何かだろうと思いメールを開くと、 そこには、「外国人が言うコケシドールって、あのコケシのこと?」とだけあった。 単刀直入、猪突猛進タイプの友人らしい、…
自分が生まれ育った国のことを、どれくらい知っているのだろうか。 外国の方が知っている日本のことを見聞きし、そのようなことを思うことがある。 地元や何らかの関りがある土地のことであれば、多少なりとも知ってはいるけれど、 行ったことがない土地や関…
久しぶりにテレビ越しに再会したパンダのシャンシャン(香香)は、 少し見ない間に、すっかりパンダの風貌になっていた。 生まれて間もない頃の彼女の体はピンク色を帯びており、 俵型のおむすびのようなボディーが印象的だった。 ピンク色の体から少しずつパ…
ワタクシ、今、地味に葛藤中でございます。 何を葛藤中なのか。 それは、これからお話しようとしていることは、クリスマスイヴにするようなお話なのか、と。 ただ、既に世の中はクリスマスの話題で溢れておりますし、 幸せのレシピ集内でも毎年、クリスマス…
先日、『ヒバクシャ国際署名』というものを目にしました。 私は頭の中で勝手に核兵器廃絶のための署名だと置き換えて、 「あ、あれのことね」と思ったのです。 だけれども、それならば、このタイミングでヒバクシャ国際署名と言い換えなくてもいいのでは? …
前回、りんご飴のお話と一緒に少しだけ触れたシーシャ。 実は、ここ数年、密かに人気を集め始めておりまして、 取り扱い店も少しずつ増えているようなのです。 聞き慣れない言葉ですので、 お店を見かけても気に留める間もなく通り過ぎている方も多いかと思…
中途半端に残ってしまったお野菜を包んで保存しようと 食品用のラップを手にして勢いよく引き出した……が、 ラップの芯がカラカラっと乾いた音を立てながらラップケースの中で暴れた。 あとちょっとだったのに、と行き場のない悔しさを胸に お野菜を包むには…