香り
今春の頃だったと思うのだけれど、ふと、新しいことにトライしてみたくなった。 しかし、世の中はコロナウイルスのことでてんやわんやしており、トライできることにも限りがあった。 そこで、自宅で簡単に始められることの中から、以前から興味を持っていた…
時折、手を伸ばしたくなる北見のハッカ飴。 ミントの葉を模した見た目の可愛さも惹かれる理由のひとつだけれど、ひと粒の満足度が高いような気がして、私の中でミントキャンディーと言えば北見のそれ、という印象がある。 近所で購入できるという安心感から…
窓を開けると、梅雨特有の、湿った土の匂いと濡れたアスファルトの匂いが混ざった匂いがした。 この匂いが好き!とテンションが上がるような匂いではないのだけれど、この時季にしか感じられないことを体は覚えているようで、この感覚が、今年もそろそろ折り…
用事を済ませに外出すると、クチナシの香りが風に乗ってやってきた。 香りの出所に心当たりがあり、少しだけ遠回りをして目的地へ向かうことに。 丁寧に切りそろえられたクチナシの垣根に散らばる艶やかな白は、湿度が上がるこの時季に清涼感を与えてくれる…
そろそろ梅雨入りする頃だろうか。 天気予報サイトをのぞきこみながら、そのようなことを思った。 思い出しついでにと玄関へ向かって取り出したのはレインブーツと真新しい傘である。 それらを手に取りやすい位置に配置し直してリビングへと戻った。 ワタク…
6月の楽しみは、大好きな紫陽花の切り花を買うことだ。 ブルーや淡いグリーンのものを手に取ることが多いけれど、ピンクやパープルの紫陽花に目移りすることも。 どの色も素敵すぎて決めることができないときには、純白の紫陽花にグリーンの葉を合わせるこ…
コーヒーショップが近くにあるのか、コーヒーのいい香りが何処からともなく漂ってきた。 歩きながら自然とその香りを吸い込んだ。 あぁ、癒される。 確かにそう感じるのだけれど、私はコーヒーが苦手だ。 挽きたての豆から放たれる香りや淹れたときの香り、…
書斎部屋のキャビネットの上に、白いパフュームキャンドルを置いている。 いつだったか忘れてしまったけれど、友人が贈ってくれたものだ。 キャンドルポットは、女性の手のひらに乗せることができるくらいの大きさで、大きすぎず小さすぎずというサイズ感な…
魚料理をとキッチンでお魚に下処理を施していたのだけれど、この時に手に付着する魚の脂によっては、においが取れにくくて困ることがある。 この日の魚は、ぷりっと程よい弾力と引き締まった身をしており脂の乗りも申し分なし。 しかし、指先に付着した脂は…
またである。 我が家のベランダには、野鳥のお客様が度々遊びにやってくる。 引っ越す先々で、新しい出会いがあり、それはそれで楽しいのだけれど厄介なのは番いの鳩である。 彼らは、一旦、目を付けた場所は何としてでも手に入れようとするガッツを持ち合わ…
寝具売場の前を通ると、い草の香りがした。 い草の香りが持つ破壊力はこれほど強いものだっただろうかと思い返してしまうほど、全身の力がゆるゆると抜けていくのを感じた。 そして、あっという間に骨抜きにされてしまった私は、用事もないのに寝具売場に寄…
昨年の今頃は、自分の命を守るための水分補給をといった内容の文言を幾度となく見聞きしたけれど、今年の夏は昨年のそれとは少し違うようである。 例年通りとはいかない夏を前に、訪れる季節にも気分や表情、性格のようなものがあるのだろうかと季節を擬人化…
この時季になると必ずと言っていいほど、「におい」に関する話題が挙がる。 多くの方がエチケットとして自分自身が発するにおいや、持ち物、衣類、自宅のにおいなどを気にかけている。 そのような視点で改めてドラッグストアやバラエティーショップにある商…
その日は、涼やかな装いで家を出たのだけれど、私の予想斜め上をいく蒸し暑さだった。 白線に反射する日差しに目を細めながら横断歩道を渡っていたのだけれど、私のそばには、白線のみを踏みながら渡る子どもたちの姿があった。 蒸し暑さに負けず、額の汗を…
今年は芍薬(しゃくやく)を飾りそびれてしまった。 一年を通して何かしらの花を飾って楽しんでいるのだけれど、春から夏の時季は次から次に艶やかな花が開花の時を迎えるため、のんびりしていると飾りそびれてしまう花が出てくるという贅沢な悩みが生まれる。…
森林浴へ出かけた。 お目当ては別にあったのだけれど、空気が美味しいであろう早い時間帯に、今日の私って健康的!と自画自賛しながら1時間ほどの寄り道である。 散策中にみかけた藤の花は、紫色の蕾が膨らみ始めたばかりの状態で葡萄のような、可愛らしい…
その日は予定の変更が重なり、ぽっかりと時間が空いたため、キッチンでゆっくりとだし汁でも作ろうという気分になった。 毎日のこととなれば好きなことも時間に追われ、ルーティンワークと化してしまうため、気持ちと時間の双方に余裕がある中で行う作業から…
役所の前を通るとブロックで作られたプランターが、敷地をぐるりと取り囲むように配置してあった。 そこには、プランター内の土を耕したばかりだということが分かる柔らかそうな土が入っており、色鮮やかなパンジーが植えられていた。 街の中に少しずつ増え…
友人から、「アロマオイル(精油)って食用に使ってもいいの?」と尋ねられたのです。 使えないけれど、どうして?と尋ね返すと、 最近、アロマオイル(精油・エッセンシャルオイル)を飲み物やお料理に少量加えている方の書き込みをSNS上で目にすることがあ…
時々、口にしたくなるエスニック料理。 自宅で作ることもあるのだけれど、本場のエスニック料理には、本場ならではの塩梅があるように思う。 運良く、徒歩圏内に本場の味と雰囲気を楽しむことができるお店があるため、時々足を運ぶことがある。 先日は、キラ…
遠方に住む友人から小包が届いた。 箱を開けると、一番上に秋を感じさせるような色合いの封筒が乗せてあった。 いつも丁寧に一筆添えてくれる友人の心遣いに和ませてもらいつつ、封を切った。 その瞬間、ふわりと金木犀の柔らかい香りが私の周りに広がった。…
ちょうどいい加減と言われるくらいが一番だと頭では分かっているはずなのに、 人の向上心や探求心が、人を飽和点へと向かわせる。 そして、飽和点に達し、十分すぎるほどに満たされると、様々な理由が挙げられ、並べられて、原点へと舵を大きく切り返す。と…
雨の匂いがした。 見上げた空は青く、絵に描いたようにクッキリとした輪郭の、白い雲が浮かんでいた。 気配はないけれど、すぐに降り出す。 そう思った私は、知人に雨宿りができそうな所まで移動しようと提案した。 知人も、確かに雨の匂いがすると言い、3…
友人から、ユーカリ精油が使い切れない、どうしたらいい?とメッセージ。 その場で思いついた、私ならこうして使い切るであろう、いくつかの用途を、お品書き風に記して返信した。 そのお品書き風の中から友人が選んだのは、寝具やカーペットなどに棲みつき…
胸の奥をぎゅっと掴まれるような強くて艶やかな香りがした。 確かに知っている花の香りなのだけれど、すぐに名前が出てこない。 頭の中では、その香りをめぐって一人連想ゲームのようなことが始まっていた。 金木犀ではなくて……沈丁花でもなくて……、ほら、こ…
愛飲していた紅茶葉が底をついた。 他にも常備している茶葉はあるのだけれど、買ってくるまでは、その紅茶を飲むことはできないと意識した途端、 その紅茶を無性に飲みたくなる、あの心理は何だろうか。 ないものねだりにも近い感情に脳内をかき回され、やれ…
この時季は、掃除を終え、ハチミツを入れたミルクティーでひと息ついていると、 開け放っている窓から入ってくる風が季節の香りを運んでくる。 春の香りも日々異なっており、その全てを記憶しておくことができないことを、 少しばかり惜しく思うことがある。…
月に1、2度、フラワーショップへ足を運ぶ。 少しだけヒンヤリとしている色鮮やかな空間に足を踏み入れると、 全身にフレッシュな空気がチャージされるようで心地良い。 店員の方と言葉を交わすようになると、 花が咲く過程を楽しむことができる鉢花を育て…
買い置きの入浴剤を入れている籠の中から、 今の気分に合いそうな香りのタブレットを一つ取り出した。 封を切り、それをバスタブにポンッと軽く放り入れた。 シュワシュワと音を立てながら弾ける泡と浴室内に広がる心地よい香り、 透明だったお湯には入浴剤…
アロマオイルを購入しているお店が数件ある。 同じ香りでも、素材の育てられ方や入手先、製造過程の違いによって少しずつ異なるため、 自分好みの香りを扱っているお店に出会うと静かに心が躍るのだ。 製造技術の進化により、購入時期によって香りに大きな違…