来週の今日(2020年10月1日)は、中秋の名月(十五夜)である。
手帳に予定を書き込みながらそのことに気が付き、そろそろお月見の準備でもとキッチンに立った。
準備といっても、当日使用する盃や花器、おぼんなどを取り出すだけのことなのだれど、うっかり日にちを間違えがちな私にとっては、必要な作業である。
ススキだけは早めに用意しておきたい。
毎年そう思うも、早めに準備しすぎると穂が狐の尻尾のようにふわーっと開きすぎてしまうため、用意するタイミングが難しいと思うのもこの時季恒例となっている。
ススキは、豊作や各家庭の繁栄を見守ってくださる月の神様を自宅へお招きする目印として、また、お招きした月の神様が宿る依代として飾るのだけれど、
無病息災や翌年の豊作を願う意味と、ススキの姿が稲穂に似ていることから収穫を喜び感謝する意味も込められている。
お月見といえば十五夜という印象が強いけれど、他にも十三夜、十日夜と呼ばれるお月見があり、十三夜は十五夜の次に美しい月が見られるということで、昔から十五夜同様に大切にされたお月見の日だ。
※ちなみに、今年(2020年)の十三夜は10月29日である。
十五夜が中秋の名月と呼ばれているのに対して、十三夜は栗をお供えすることから「栗名月」と呼ばれており、
先人たちは、十五夜と十三夜の両方を見てはじめて「お月見」だと言えるとし、片方の月しか見ないことは「片見月」と呼び、縁起が悪いものとして扱っていたという。
中秋の名月に関する話題には、過去にも様々な視点から触れているため、ここでは割愛するとして、今回は日本ある「お月見どろぼう」という風習の話題でも。
そう聞いて、「今更お月見どろぼう?」と思う方と「お月見どろぼうってなあに?」と思う方がいらっしゃるかと。
それもそのはず。この風習は国内の限られた地域のみで行われている風習なのだ。
私は、この風習とは無縁だったため、大人になり仕事をご一緒した方々から教えていただいた風習である。
なんでも、その昔、中秋の名月(十五夜)の日だけは、他所様の畑からお芋を盗んでも良いとされていたのだそう。
もちろん、盗んで良いといっても、根こそぎ盗み取っても良いという話ではなく、畑の隅のお芋を常識の範囲内で少しだけいただくというものである。
この日盗まれたお芋は、お月様が食べてくださった、お月様が持って帰ってくださったということで縁起が良いとされ、お芋を盗まれた畑は豊作になると言われていたそうだ。
この風習も農業を営む方が減ってきたからなのか、時代を経る中で中秋の名月(十五夜)の日に盗まれるものは、お芋からお団子に変わったという。
そして、このお団子を盗んでいいのは、お月様の使いだと考えられていた地元の子どもたちとなり、「お月見どろぼう」と呼ばれる風習が生まれたようだ。
更にそこから時代は進み、今では、お団子がお菓子になったり、子どもたちが黙って縁側から盗むのではなく、玄関チャイムを鳴らして「お月見どろぼうです」と名乗りお菓子をいただいたりするスタイルに変化しているという。
私はお月見どろぼうの経験も、お菓子やお団子をあげる側の経験もないため、この風習を見聞きすると、外国で行われているハロウィンのトリックオアトリートを思い出してしまうのである。
お月見どろぼうとトリックオアトリートは似て非なるものではあるけれど、楽しみながら様々なことを知る機会があるのは素敵なことだと思う。
中秋の名月が近づいてまいりました。
当日のお天気が気になるところではありますけれど、どのようなお天気でも月が消えてなくなっているわけではないので、
10月1日は、夜空を見上げて今あるハッピーに感謝したり、無病息災や翌年の様々な豊作を願うなどして楽しんでみてはいかがでしょうか。
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