歳時記
スタイリッシュな墨色をした鉢から伸びた細い茎の先には、顔を覆ってしまえるくらい大きな葉と、濃い桃色をした蓮(ハス)の花があった。 蓮(ハス)は、夏の訪れと共に咲き始める花である。 その多くは、池の中から茎を伸ばして花を咲かせることで知られている…
毎年この時季になると、七夕飾りの竹が設置されるショッピングモールがあるのだけれど、今年は竹の代わりに、感染症を防ぐため竹や短冊を設置しないことが書かれた貼り紙があった。 この短冊を利用したことは無かったけれど、竹に飾られる短冊が日に日に増え…
あ、気付けば6月16日が過ぎてしまっている。 開いた手帳に細々と書き込みながら気が付いた。 さすがに「和菓子の日」までは記されていない私の手帳を眺めながら、来年の手帳レフィルを購入したら6月16日のスペースに「和菓子の日」であることを書き込…
今年も和菓子店の店頭に「水無月(みなづき)」が並ぶ頃となった。 水無月(みなづき)とは、いつの時代から食べられるようになったのかは分かっていないようなのだけれど、栄養がある「葛」や「ういろう」と、穢れや邪気を祓うことで知られる小豆を合わせた和菓…
お天気が良かったその日、自分を丸ごと太陽光で殺菌してしまおう。 そのようなことを思い立ち、ベランダへ出た。 流れる風は、ほんの少しの冷たさを含んでいたけれど、太陽光の温かさと相まって心地良いものに感じられた。 いつだったか、知人が「人間は自然…
明日は友人、知人、複数人の誕生日である。 年に数日、複数人の誕生日が重なる日があるのだけれど、4月8日はお釈迦様が生まれた日だと言われていることもあり、忘れることなくお祝いメッセージを届けることができているように思う。 聞くところによると、…
ひな祭りのお飾りとして準備した生け花を片付けた。 暖冬の影響か、私が部屋を暖めすぎていたからなのか、今年の春告げ花たちは駆け足で咲き散っていった。 あっという間だったけれど、春色や各々の甘い香りなど十分に楽しませてもらったように思う。 うさぎ…
時間や曜日の感覚が定まらないライフスタイルで過ごしていると、祝祭日に疎くなってしまうのだけれど、今月は建国記念日や天皇誕生日の振替休日があることに、数日前に気が付いた。 私は、カレンダーを見て、今日は建国記念日かと思うだけのことがほとんどだ…
先日の節分の日。 こんな声では鬼も福も無いのではないだろうかと思うような小声で、「鬼は外、福は内」と呟きながら豆を撒いた。 自分の中の鬼退治と福の呼び込みの意味での、自分目掛けて「鬼は外、福は内」も忘れずに。 そのような話を知人にしたところ、…
本日は節分、季節の分かれ目となる日である。 節分とは本来、立春、立夏、立秋、立冬の前日のことを指しており、年に4回あるものだ。 これが、一年は立春から始まるという考えのもと、室町時代辺りから立春の前日を節分と呼ぶようになったといわれている。 …
寒の入りをした日、今年は丑紅(うしべに)でも新調しようかと思っていたのだけれど、気が付けば、そう思ったことがすっぽりと頭から抜け落ちたまま、寒の明けまであと数日というところまで来てしまっていた。 以前、この時季は、口紅を新調するのにも良い時季…
昨日、寒の入り(かんのいり)の話題に触れたのですが、今回は、この時季ならではの「寒九の水」のお話を少し、と思っております。 温かいお飲み物片手に、ひと息のおともにお付き合いいただけましたら幸いです。 今年(2020年)、1月6日から始まった寒の…
時折、口にする和菓子の美味しいこと。 その中でも桜餅やお月見団子など、季節の行事と結びついているものとなると、美味しさが数割ほど増すように感じられるものだから、気が付けば、ひと口を普段よりもじっくりと味わっているように思う。 冬の寒さが深ま…
普段よりも随分と早起きをしたその日、遠くの東の空が濃いオレンジ色に色づき始めていた。 目の前の空に浮かぶ雲には、昇ってくる太陽のオレンジ色が反射して辺りを照らしており、淡いピンク色とオレンジ色を混ぜ合わせたような美しい朝焼けが広がっていた。…
もうすぐ冬至がやってくる。 冬至は、太陽の位置が北半球において一年で一番低くなる日。 このため日照時間も一番短くなる日なのだけれど、このような条件を満たしていなければいけないこともあり、日付が変わる点が少しばかり厄介である。 今年(2019年)…
残暑に気を取られているうちに空気はすっかり秋の匂いだ。 初夏に香るフレッシュな草木の匂いも良いけれど、秋に鼻先を擽る、少し乾いた草木の匂いも風情があっていい。 そのようなことを思いながらガーデンチェアで乾いた喉を潤わせていると、ふわりと甘い…
今年も重陽(ちょうよう)の節句(9月9日)がやってくる。 1月1日の元日や、3月3日のひな祭り、5月5日の子どもの日、7月7日の七夕ほどの知名度や分かり易い華やかさのようなものはないのかもしれないけれど、 五節句の中で一番、大人ならではの楽しみ…
考えごとをしながら歩いていたからか、駅構内でうっかり受け取ってしまった団扇の収め場所に困ってしまった。 手にしていたバッグにそれが入る余地などなく、どうしたものだろうかと持ち手部分を無駄にクルリクルリと回しながら歩いた。 団扇の片面にはどこ…
そろそろ七夕の準備をと思い立ち、笹の予約をフラワーショップに入れた。 長すぎたり、大きすぎたりすると地味に扱いにくく、後片付けも少々面倒。 あれやこれやと楽しみたいけれど、そのようなことも脳裏を過ってしまうものだから、事前に希望を伝え、ベス…
日本には、災厄除けとされてきた小豆の赤色を取り入れるため、月初めの1日と15日にお赤飯を食す風習がある。 これは月の満ち欠けに合わせて決められていたと言い、15日は満ちた状態を表している満月を祝う意味もあったという。 日本で受け継がれている…
今年もいつの間にか、夏越の大祓(なごしのおおはらえ)の日であり、ハーフタイムデーでもある6月30日がやってきた。 1年をふたつに分ける古からの考え方でこの日を見ると、12月の末日(大晦日)と同じ、前半の末日(大晦日)である。 年末の大晦日が新年…
早咲きの品種は既に開花している桜だけれど、先日七十二候(しちじゅうにこう)である「春分」の期間が終わり、次候である「桜始開 (さくらはじめてひらく)」に入った。 七十二候(しちじゅうにこう)は、春夏秋冬を24の季節に区切り、その24に区切った…
二十四節気が立春から雨水(うすい)へと変わった。 今年は、2月19日から3月5日までがこの期間にあたるのだけれど、雨水期間に入る初日(今年は19日)を雨水の日と呼ぶことが多い。 雨水期間を簡単に言うならば、冬の厳しい寒さが一段落し、気温が少しず…
今年は少し出遅れてしまったのだけれど、2月も半ばを過ぎた頃、うさぎ雛を出した。 今年もこうして、取り出して飾ることができる状況に感謝しつつ、リビングの一角に並べた。 桜木や菜の花は手配済なので、到着を待って飾ることにした。 一時期は、全ての準…
昨年末にお正月用にと準備した祝い花が、未だ元気に咲いてくれているのだけれど、自己最長記録とも言える咲きっぷりに思わず、 まだ生きていますか?と真顔で問いかけながら切り花に顔を近づけた。 年に数回、1か月半ほど咲いていてくれる切り花があるのだ…
至る所で目にする恵方巻の広告。 日本各地に再び広まった風習のひとつだけれども、その一方で廃棄処分される恵方巻の数が問題視され始めている。 大切に受け継がれてきた風習に様々な思惑が加わると、加わり方によっては、このような事態に陥るのかと、廃棄…
冬至の日、準備しておいた柚子を湯船に浮かべ、柚子風呂を楽しんだ。 柚子を購入した際に、柚子を入れる柚子袋もいただいていたのだけれど、 あの丸くて黄色い物体が、湯船にぷかぷか浮く姿を見ないままの柚子風呂は、何だか物足りないようにも思えたものだ…
先日、ひと息つこうかとソファに座りかけつつテレビを点けた。 すると画面には、年代物のようなCMが映し出された。 古き良き時代の、厳かでありながらも華やかさを纏ったお正月を思わせるような、蒲鉾のCMだ。 この時季のために作られたCMを長年大切に…
今年も冬至が近づいてまいりました。 これから本格的な冬がやってくるのですが、冬至は、一年で一番日が短くなる日。 ということは、冬至の翌日からは、少しずつ日が長くなっていくということです。 この様子を日本や中国では、冬至の日は太陽の力が一番弱く…
冬の済んだ空気の中、クリスマスイルミネーションが夜の街を彩っている。 放たれている灯りには、若干の、自分の心模様が反映されるようにも思うけれど、冬ならではの華やかさは、やはり今年もキレイだと思った。 この時季の日本では、光のページェントとい…