たべもの
スイカが並んでいた記憶が消えぬうちに、陳列棚の上には数種類の梨が並べられていた。 夏のフルーツから秋のフルーツへと変わると、いよいよ秋だなと思う。 夏を苦手としている私にとって秋の到来は待ち侘びていたものなのだけれど、去り行く夏を見送るのは…
鮮魚売り場を通ると、「魚介」や「魚貝」の文字が目に留まった。 ワタクシ過去に、どちらを使えば良いのだろうとキーボードを叩く指先が留まったことがある。 執筆作業をしていると時折起こることなのだけれど、意識をすればするほど、分かっていたはずの正…
夏の日差しに、ほんの少しだけ秋色が混ざり始めた。 いつの間にか9月だものねと思うのだけれど、酷暑の残り香たっぷりの残暑によって、秋を思う気持ちが宙ぶらりんの状態となった。 植物も体内時計と気温差に戸惑うのか、先日は2枚だけ黄色から赤のグラデ…
最後に食べたのがいつだったか覚えていないほど久しぶりに、グラタンを作った。 グラタンの表面には、味見をしたい衝動を抑えながらカット済みタイプのチーズを散らした。 カット済みタイプのナチュラルチーズが袋詰めされたチーズがあるけれど、この手の商…
待ち時間の手持ち無沙汰を埋めるべくネットサーフィンをしていると、素敵な画像が目にとまった。 その画像の出どころを探していると、様々なお料理レシピを紹介している外国の方のサイトに辿り着いた。 食器類のチョイスや盛り付けも素敵で、しばしサイト内…
平安の頃から食べられていた素麺、今年はまだ片手で足りるほどの回数しか口にしていない。 素麺は、天の川や織姫の織り糸に見立てて食べられていたという話や、無病息災を祈って食べていたという話などが残っており、古くから親しまれているもののひとつであ…
スマートフォンで撮った写真を久しぶりに整理した。 「空」と記したファイルには様々な表情をした空の写真がズラリと並んでいた。 似たような時間帯に撮ったものが多いにも関わらず、どれ一つとして同じ空はなく、削除してしまったら、その風景が無かったこ…
いくつかの調味料が順に切れ、代用にも限界がきたため、重い腰を上げて買い出しへ出かけた。 久しぶりの場だったこともあり、入店するや否や目移りまっしぐらといった逸る気持ちを落ち着かせて必要なものをカゴに入れた。 買い忘れはないかカゴの中身を確認…
甘いものを欲し、冷蔵庫を開けると使いかけの白玉粉と上新粉があった。 確か、非常時用の缶詰の中に小豆缶もあったはずだと専用ボックスをのぞくと、賞味期限まで随分と余裕がある小豆缶があった。 非常時ではないけれどイイの、イイのと、ひと缶取り出し、…
先日、手元に残しておきたい書籍の仕分けをしていたのだけれど、そろそろ手放してもいいのかもしれないと思った1冊に、フランス語で書かれたレシピ本があった。 内容は全く読めないに等しく、その料理を再現するには翻訳機か辞書片手に頑張る必要があるのだ…
青い空に肉厚な白い雲が浮かんでいた。 摘まめば跳ね返ってきそうな膨らみ方をしていたものだから、つい、子どもっぽい想像が広がってしまった。 いつの間にか8月かと思っていると、チャイムが鳴った。 宅配業者の方である。 暑い中、マスクをした状態での…
野菜室内の野菜が底をつき、気持ちが良いほどの空間ができた。 久しぶりに目にした状態をこれ幸いと思い、庫内の簡単なお掃除と消毒をした。 そして、曇りが取れて艶を取り戻した庫内をフレッシュな食材で満たすべく買い出しへ出た。 スーパーの出来り口に置…
国内外を問わず、物産展と呼ばれる催しを見て回るのが好きだ。 知らない職人技や味に触れることができたり、現地の言葉や県民性に触れることができたり、お気に入りのものに再会できたりと、自由に楽しむことができる暮らしのテーマパークのような空間である…
年に1、2回ほど足を運んでいたコッペパンの専門店が、いつの間にか閉店していた。 最後に購入したのは昨年末だったように思う。 食べきれないと思わせるほど大きなコッペパンだったけれど、そのふかふかの柔らかさと軽やかな食感が後を引き、あっという間…
夏土用入してから1週間程が経過した。 土用とは、立春、立夏、立秋、立冬前の約18日間のことを指している。 土用と聞くと夏のそれが思い浮かぶけれど、年に4回あり、今は「夏土用」と言われる期間である。 ようやく梅雨明けを感じられるようになり、これ…
栞代わりに使っているポストカードに描かれているのは、とてもキュートなカエルだ。 一丁前に、頭にはゴールドの王冠を、右手(右前足)には美味しそうなパイが乗った皿を乗せてポーズを決めている。 表情を作る個々のパーツのみを見ていけば不愛想にも思える…
いつだったか。 数年前に訪れた旅先で目にした南部鉄器製の急須を、時折思い出すことがある。 フォルムも発色もとても素敵でひと目惚れに近い衝撃を受けた。 すぐに購入すれば良かったのだけれど、今や南部鉄器製の急須は様々なところで購入することができる…
時折、手を伸ばしたくなる北見のハッカ飴。 ミントの葉を模した見た目の可愛さも惹かれる理由のひとつだけれど、ひと粒の満足度が高いような気がして、私の中でミントキャンディーと言えば北見のそれ、という印象がある。 近所で購入できるという安心感から…
掃除したばかりの網戸から入ってくる風の心地良いこと。 それほど汚れているようには感じていなかったのだけれど、いつもの風とは違うと感じるのだから、それなりに汚れていたのだろうと思う。 更には、網戸越しの景色も心なしかクリアに見えるものだから、…
自由でありたいけれど、ときに自由は不自由である。 そう感じたのは、洗濯機を買い替えなくてはと思い、ネットで目星を付けたものの自分の審美眼に自身が持てず家電売り場を見回っていたときのことだ。 見比べてみようと思い足を運んだけれど、あまりの豊富…
大人になると、良くも悪くも器用になりすぎて目の前のことに集中できないことがある。 だから時々、頭の中を空っぽにすることを目的にキッチンに立つ。 その日は、黙々とジャガイモの皮を剥いていたのだけれど、うっかりジャガイモの皮を剥きすぎて、気付け…
今年の春、プチヴェールという名の野菜を知った。 フランス語で「小さな」という意味のプティと「緑」を表す「ヴェール」という言葉をくっつけて「小さな緑」と名付けられている野菜だ。 初めてのものを見るととりあえず、調理方法も分からないのに好奇心に…
そう言えば、夏ゴボウ(新ゴボウ)の時季だ。 ごぼうと言えば、冬野菜のイメージがあるのだけれど、実は春から初夏にかけて登場するゴボウは、「夏ゴボウ」「新ゴボウ」と呼ばれて楽しまれている。 これは、初夏に収穫期を迎える品種のものや、収穫時期を前倒…
近所にあるパン屋の前を通ると店のシャッターが閉まっていた。 店休日に来てしまったかと思いながら貼り紙を見ると、閉店のお知らせが記されていた。 数日前は、良質なお肉を取り揃えている精肉店で似たような貼り紙を目にしており、「またか……」と複雑な思…
キュウリのトゲが指先をチクリと刺激した。 随分と久しぶりのように思える感覚に、手にしているそれを目の高さまで持ち上げて眺めた。 とても野性味溢れる濃い色と鋭いトゲを前に、これは痛いはずだと思った。 ピーラーで皮を剥いて縞模様にするつもりだった…
何かひとつ、新しいことにトライしてみたくなった。 時折、続けられるかどうか分からないからトライできないでいると耳にすることがある。 トライしようとしているモノゴトにもよるけれど、私は、誰かに迷惑をかけるようなことでないならば、続けられなかっ…
当時の江戸でベストセラーとなり豆腐ブームの火付け役となった『豆腐百珍(とうふひゃくちん)』をパラパラと捲った。 今の私たちからすれば、レシピ本は見慣れたものなのだけれど、その当たり前の走りとなった本だと思って捲ると興味深い本である。 今のよう…
私は密封チャックが付いていない袋入り乾麺を開封する際、縦面の端をカットするようにしている。 袋の上部、横面をカットすれば開け口を最小限に抑えることはできるのだけれど、どうにもこうにも、残りを封じ難いように感じるのだ。 しかし、縦面をカットし…
スイカが店頭に並ぶようになった。 1個も食べられないという理由から、既にカットされたものを購入することが多いのだけれど、今年は1個丸ごと購入して、スイカでスムージーでも作ろうかと思うこの頃である。 スイカの起源は古くエジプト王の墓からも発見…
手付かずのまま放置してしまったニンニクと目があった。 ニンニクは、予めすりおろされているタイプとフレッシュタイプの両方を常備しているのだけれど、その週は、すりおろしタイプの出番が多かったのだろう。 フレッシュタイプのニンニクは放置期間を告げ…