甘味処のショウウィンドウスペースに、可愛いアマビエダルマが並んでいた。
円らな目をした優しい色合わせのアマビエたちを眺めながら甘味処を通り過ぎたのだけれど、妖怪とは思えぬ可愛さに気持ちがすっかり癒されていた。
我が家にも今年に入って2種類のアマビエがやってきた。
ダルマではなくカードの類なのだけれど、双方ともに好きな作家によって手掛けられたもので、それぞれに、それぞれの良さがあり私の宝物となった。
アマビエとは、今年に入り知名度が急上昇した日本に伝わる妖怪で、人と魚をミックスさせたような姿をしていると言われている。
遠い昔、海の中から光輝く姿で現れて「しばらくは豊作が続くけれど、その後、疫病が流行する。その時には私の姿を描き写して人々に見せなさい」と告げ、海の中に戻っていったと言い伝えられている。
いつの時代も未知なるものと向き合わなくてはいけないときには、このような存在の中にささやかな希望の光を感じるものなのか、すっかりお馴染みとなったアマビエである。
そして、アマビエ以外にも疫病や災厄などを祓い除ける妖怪がいるという。
先日私が知った妖怪は、巨大昆虫のような姿をしており、疫病や災厄を空き散らす鬼を片っ端から食べまわり、疫病や災厄を消してくれるという妖怪であった。
失礼ながら人に危害を加えることはないと聞かされぬまま初見すれば、人に悪さをする側の妖怪だろうと思ってしまいそうな姿をしているではないか、というのが私の第一印象であった。
その巨大昆虫のような妖怪は「神虫」と呼ばれており、疫病や災厄を巻き散らかす鬼を毎日数千体もの数喰らうという。
そして、この神虫のように疫病や災厄を招き散らす鬼を退治してくれる妖怪を描いた絵があるのだけれど、中国ではこの絵のことを辟邪絵(へきじゃえ)と呼んでおり、日本にも平安時代に描かれた辟邪絵(へきじゃえ)が残っている。
先ほどの神虫もそのひとつのようだ。
時代は繰り返すというけれど、その通りだと改めて感じた神虫の話であった。
そして、第一印象は大切だというけれど、確かにそれも一理あると思うけれど、それだけでは判断し難いこともそこかしこにあるものだと思ったりもして。
このようなご時世だからこそ知ることができるモノゴトや、感じられるものがある。
それならば、できる限り前向きな視点で、それらに触れてみたいものである。
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