幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

おすすめを訪ねて小さな冒険をするのも楽しいものだ。

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以前住んでいた家の近くに一軒の古民家を改造したバーがあった。
温かみのある木の外壁は落ち着いた柿渋色で塗られ、
中央に構えられた入口は引き戸だ。
夕方になると店内の温かみのある灯りが外の漏れ出して
これもまた趣が感じられて気になった。

なかなか行く機会が無かったお店なのだけれども、
その土地から引っ越す数か月前に、ようやくそのお店の敷居をまたぐこととなった。

目に飛び込んできたのは、立派な欅(けやき)で作られた厚みのあるカウンター。
一枚板と呼ばれる木に目がない私はそれだけでテンションアップである。
マスターに勧められるがまま、カウンターに腰かけ
出来るださり気なく、怪しまれぬように掌で軽く欅のカウンターを撫でる。
幸せだ。

その後店内をぐるりと見渡すと、アンティーク調のソファーとテーブルの席があったり、
奥の方へ進むと個室らしきスペースもあるようだった。
店内に流れる落ち着きのあるジャズと日本の古民家の組み合わせ、
これも幸せだ。
日常の延長のような心地よさに非日常の匂いが混じったような、
この空間があまりにも心地良かったため、
どうしてもっと早く来なかったのだろうと、この時ばかりは非常に後悔した。

私の中で、初めてのお店で頼むものは大体は決まっている。
だけれども、「このお店は、きっとはずれない」そんな根拠のない自信が湧き
マスターにおすすめの飲み物を頼んだ。
出されたのはジントニック。
シンプルなこの1杯を出すなんて余程の自信があるのだろう、
と大いに期待しつつも、
少し変わったこのお店のオリジナルが出てくる事も想像していただけに
若干の肩透かしも感じながら、ジントニックをひと口。
これが、驚くほどに美味しいのだ。
つい、グラスの中を覗き込んでしまったほどだ。
チラリマスターの方へ目を向けると、静かにグラスを拭いている。
その無駄のない動きは自信に満ちているようにも見えた。
私は未だにあの時のジントニック以上に美味しいジントニックに出会えていない。
忘れられなくなる味って本当に存在するのだなと感じた瞬間だ。

私はよく、飲食店などで“おすすめ”を尋ねる事がある。
どうしても食べたい物があるのであれば、それを注文するけれど
自分の好みのベースはある程度決まっていることが多い。
だから、お店の方の“おすすめ”を頼むことで冒険をしてみるのだ。
数あるコーヒーの中から、店員おすすめのものを頼んでみたり、
ケーキや、紅茶、ハーブティーなど、小さな冒険だ。

自分で冒険するのもいいのだけれど、
おすすめを尋ねれば新しい情報が得られる事も多いのだ。
外れた時は、これも経験だと思うことにしている。
そして、見た目以上に、想像していた以上に美味しい!と思える味に出会えることもある。
あなたも小さな冒険、“おすすめ”を尋ねてみませんか?
あなたの毎日がちょっぴり豊かになりますよ。

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