幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

優しさのシャワーを浴びた日

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今朝は寒すぎる。

起き抜けにエアコンのスイッチを押す。

なかなか温まらない部屋にポコポコとコーヒーの音がやけに響く。

 

ん~、こういう日は出かけたくない。

出来る事なら、温かい格好で、温かい飲み物を飲みながら、まったりと過ごしていたい。

そんな思いを妄想の中にグイッと閉じ込めて身支度をする。

ここで気を抜いて心の道草をしてしまうと、

あっという間に家を出る時間がきてしまう。

私の日常茶飯事だ。

ほんの少し急ぎながら家の事をしながら身支度をする。

 

行き当たりばったりなスケジュールが大好きだけど

計画通り段取り良く進められて予定していた時間よりも早く片付くと、胸の中でガッツポーズだ。

「(今日の私って天才っ!)」

大袈裟なのは否めないけれど、

これで今日一日の自分のテンションが上を向くのなら、

一日のスタートをきることが出来るのなら、自分で自分を褒める。

今日も、これでいいのだ。

自分が元気でなければ、自分の事すら褒められない。

今日の私の調子はまずまず、という事だろう。

 

すっかり温まった部屋を名残惜しく思うけれど

この日の予定を片付けるべく家を出た。

小さなラッキーもあり、いつの間にか外の寒さも気にならなくなっていた。

 

2階にある駅の改札へ向かおうと少し先へ目を向けた。

エスカレーターはメンテナンス中のようだった。

あの長い階段を登るのか、と思った時。

階段下に大きなキャリーバックを手に階段を見上げている、ご年配の女性の姿が目に入った。

 

「(んー、私にあのキャリーバッグは持って上がれるかな)」

ちょっと不安を感じつつも「(何とかなるか)」と、歩みを早めると、

「持ちますよ!!!」

とても元気のいい女子高生のグループが賑やかな声と共にその女性を囲んだ。

部活帰りなのかこの寒い中、ジャージは捲り上げられ、上半身は半袖Tシャツだ。

あり余る元気を遠目に「(良かった、お婆ちゃん大丈夫だ)」とホッとした。

 

歩くペースを戻した私がその階段に到着すると、

階段の最上部で待機するキャリーバックを運んだ女の子たちと

それ以外の女子高生とお喋りをしながら階段を登る女性の後ろ姿が目に飛び込んできた。

何とも温かい光景だ。

 

私もその女性と同じタイミングで階段を登り切った。

すると女子高生の一人が女性に

「電車に乗るなら改札の中でもう一度階段があるけど大丈夫?」

また別の高校生が

「エレベーターがあるけど、ちょっと分かりづらい場所だけど知ってる?」

更にまた別の女子高生が、

「一緒に行った方が早いよ!一緒に行きましょう!」

次から次に出てくる優しさのシャワーは、女子高生たちの声が大きくて丸聞こえ。

微笑ましくて、可愛らしくて、元気いっぱいで、眩しくて、

私まで彼女たちの優しさのシャワーを浴びさせてもらったようで

何だか幸せな時間になった。

 

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