少しずつ街中で目にする色も
街中を歩く人たちのファッションも華やかできれいな明るい色が目立ってくる。
その年のトレンドカラーやトレンドアイテムを目にすることも多く
新しい季節がやってきたのだと、
今年も春がやってきたのだと実感できる光景だ。
以前、このような出来事があった。
季節は春ではなかったのだけれども、
このような季節の変わり目の当たり前の光景を見た外国の友人がこう呟いたことがある。
「街の中の皆が同じファッションをしているのね」
「皆が似たようなメイクや髪型なんだね」
もちろん友人に一切の悪気はなく、
目にした光景に対してそう感じただけのこと。
お花を見て「わぁ、きれい」と無意識に口から出てしまうのと大差はなかっただろう。
それでも私は、一瞬言葉に詰まった事を覚えている。
友人の言葉は色々な意味で少し考えさせられるものがあったのだ。
私も、衣替えをしてクローゼットを開けた時、
昨年ワンシーズン乗り切ったはずのクローゼット内のラインナップだというのに
季節が廻ると「着るものが無い」と思っていた頃があった。
失敗も重ねながら自分なりのファッションを楽しんできたけれど
きっと自分本位のファッションを楽しむのとは少し違う楽しみ方をしていたのだろう、と今は思う。
年齢やライフスタイルの変化と共に自分の好みや似合うもの、
得意なものや苦手なものが分かってきたり、
自分はファッションのどの部分で遊ぶのか、
どんなファッションに挑戦してみたいのか、
自分らしさをどう出すのかなど
自分が本当にしたい、心地良いと思えるスタイルを
自分で選ぶ事が出来るようになりつつある気がしている。
周りの人からどう見えるのかという点に過剰に意識を注ぐのではなく
自分ルールを採用する意志とでも言うのだろうか。
その過程で、子どもの頃には似合わなかったハイブランド物も、
背伸びをせずに、それなりに似合う年になってくる。
リーズナブルな物の中からでも素敵な物や良い物を宝探しのように
楽しみながら探し当てられるようにもなる。
ハイ&ローを自分に合う匙加減でミックスさせて
自由にファッションを楽しめるようにもなる。
それら全てが大人ならではの醍醐味のように思える。
最近、偶然その場に居合わせた笑顔が素敵なご年配の方が
このような事を話された。
「こんなお婆ちゃんなんだけどね、今ね、おしゃれが楽しいのよ」
「昔のお洋服だけど、若い人たちのおしゃれを参考にして色々やってみてるの」と。
本当にファッションを自分らしく楽しみ始められるのは
大人になってからだと思う今日この頃だ。