幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

「鮨、寿司、ときどき鮓」あなたはどの表記を使っていますか?

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お寿司を堪能していた時のこと。

ふと、以前から気になっていたことを思い出してしまった。

思い出してしまった事と言うのは、

「鮨、寿司、ときどき、鮓、これらは何が違うんだ?」

一般的には「鮨」か「寿司」で通じるし困ることもないので

何となく使い所で、そのどちらかを使っていたのだけれど、

餅は餅屋というし、

この辺りで一度きちんと知っておきたいかも、そんな事を思ってしまったのだ。

私の目の前に立ちはだかる「鮨と寿司、ときどき、鮓」の壁。

今宵、突破なるか?!

美味しいお寿司の味から気持ちが遠のく自分をお寿司に留めつつ、

大将の間を伺う。

 

タイミングよく違う話題が飛んできたので

いざ、行かん!と一人静かに意気込んで尋ねてみた。

さすがは大将、流れるような美しい手捌きはそのままで

分かりやすく説明してくれた。

 

「すし」という言葉は、

発酵食品を口にした時に感じる味覚の「酸っぱい」がもとになって

「酸し(すし)」と呼ばれるようになったのだとか。

そして、その「すし」を漢字で表すと色々とあるのだけれども、

これには諸説があるとのこと。

 

鮨、寿司、鮨、全て当て字だという、少々拍子抜けしてしまう説と

元々は区別されていたのだけれど、

時代が移り変わっていく中で入り乱れてしまったという説。

 

もちろん、私が興味をもったのは後者の説で

「うん、うん、それで?」という空気感を漂わせていると大将が話を続けてくれた。

 

一番よく目にする「ことぶき(寿)」を使った「寿司」は、縁起を担いだ表記。

江戸時代のお寿司は、将軍家への献上品とされることも多かったのだそう。

その時に、お寿司に「ことぶき(寿)」を「つかさどる(司る)」ものという意味を込めて

縁起も担ぎ「寿司」と命名し献上したのだそう。

改めて、文字を見てなるほど、と感じたのと同時に

そのような気持ちでお寿司を味わうと

いつもの数倍美味しく、有難く感じられるような気がした。

当時の日本人が私のように感じたのかは分からないけれど、

縁起を担ぐことが好きな日本人だからこそ、

「寿司」の文字が主軸として残っているのかもしれない。

 

では、鮨という表記は?といいますと

これこそが江戸時代のファストフードとも言われた「にぎり鮨」のこと。

当時は、職人がお魚を握ったものが鮨。

魚が旨いと書いて「鮨」なので、こだわって「鮨」の看板を掲げる方も居るのだとか。

 

そして、日常生活ではあまり目にすることは無いのだけれど「鮓」。

私は古い文章に触れている時に目にするのだけれど、

これは、お魚やご飯を発酵させた保存食の

なれずし(熟れ鮨(鮓)、馴れ鮨(鮓))を表しているのだそう。

 

このようなお話を、色々と面白おかしく教えていただいて

私は、とてもスッキリ。

そして、さて、私はこれからどの「すし」を使おうかしら、と思ったわけです。

江戸時代にはお寿司の屋台があり、

これが世界最古のファストフードでは?という話もあるくらい

お寿司は皆の気軽な食べ物だった。

そのような「皆の味」が「寿を司る」なんて、なんだか素敵だ。

それ以来、私は「お寿司」の文字を敢えて選ぶようになった。

皆さんは、鮨、寿司、鮓、どの表記を選ばれますか?

 

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