初夏頃の出来事だっただろうか。
遠方から友人が子どもを連れて泊りがけで遊びに来てくれた。
気心知れた友人は日常からほんの少し解放されたのだろう。
独身時代の頃のように私の家のソファへ子どもの様にダイブした。
しかし、その直後、母親のそれを真似て
同じようにソファーへダイブした我が子にハッとしたようで
母親スイッチを入れると、よそ様のお宅のソファーにダイブしてはいけないのだと丁寧に教えていた。
友人の名誉の為にひと言書き添えておくと、
この“ソファーへダイブ”というのは、私と友人との間にちょっとしたエピソードがあり、
お決まりのコミュニケーションの一環として成り立っているものである。
友人と久しぶりにゆっくりとお喋りを楽しむ予定ではいたのだけれど、
予想通り、私は彼の餌食となり、体力のほとんどを放出することになった。
少しでも一緒に飛び跳ねたい盛りと、
そろそろジッとしていたい柊希との攻防戦が始まった。
そこで、少しでもジッとしていられそうな遊びを考えていると、
彼の手にキラリと輝く時計が目に飛び込んで来た。
「ねぇ、それホンモノ?」
少しだけ意地悪な質問をしてみた。
「子どもだけが使える特別なホンモノだよ」と腕をグイッと目の前に差し出された。
文字盤を覗き込むと長針に短針、秒針まであるホンモノだった。
「(よし、この勝負は私がいただいた)」そう思い、時計で方角を見る遊びを提案した。
方位磁石が無くても時計があれば方角が分かる豆知識のようなものなのだけれども、
子どもたちは「あそび」の3文字に弱い。
彼は飛び跳ねることを忘れ私の横にお行儀よく座った。
その豆知識、私の知識ボックスにも入れておきたいわ、
と言ってくださる方もいらっしゃるかもしれませんので、
本日は豆知識でブレイクタイム、いかがでしょうか。
使用しますのは長針と短針のあるアナログ時計と太陽です。
時計は、腕時計、壁掛け時計、目覚まし時計、どのタイプでも使うことができます。
まずは、時計を水平に持ち、短針を太陽へ向けます。
この状態をキープし、文字盤の12時がどちらの方向を向いているか確認しましょう。
短針の方角(太陽の方角)と12時の方角の真ん中の先が南です。
後は、これを元に他の方角も知ることができます。
例えば短針が5時を指している場合、5時を太陽に向け、
その状態で12時から5時の中間となる方向が南です。
注意する点は3つです。
【1】この豆知識を使うことができるのは太陽が出ている時のみだということ。
【2】太陽を直視してはいけないということ。
【3】午前6時と午後6時を境に、短針と文字盤の12によって出来る角の鋭角側、鈍角側のどちらを使うかによって南と北が逆転するということ。
【3】を、もう少し具体的に説明しますと、
午前6時から午後6時までは鋭角側の真ん中の先が南ですが、午前6時前と午後6時以降は鈍角側の真ん中の先が南です。
子どもには少し難しい注意点も組み込まれているため、
彼は豆知識をマスターすることにすっかり夢中になり、
この勝負、やはり私の勝利で幕を閉じることとなった。
そして私は、勝利の美酒を味わいつつ友人とのお喋りに花を咲かせることが出来たのでした。
皆さまも、太陽が見えているようであれば
本日の大人遊びとしてお試しあれ。