秋と言うには若干気温が高い日があることを除いて辺りを見回すと、
思っていた以上に様々な秋が散りばめていることに気づく。
陽射しは、まろやかさを帯びているし、
開け放った窓から流れ込む風の匂いからは夏の気配が消えている。
ふらり立ち寄ったお店には、
ふんわりと優しい温かさの色とりどりのカシミヤのストールが並んでいた。
少し前までは肌に張り付くような夜風に体力までも奪われそうになっていたのだけれど、
その風が肌の上を撫でるように過ぎ去る夜も増えつつある。
先日は、浴室で勢いよく飛び出したシャワーの温度が低く感じられて、
こんな所にも秋の気配が、と思いながら設定温度を1℃上げた。
そして、気分転換に入ったカフェで温かいミルクティーに癒されている私がいる。
季節の移り変わりは人の成長にも似ていて、ある時、ハッとその変化に気づかされるのだ。
何気ない日常の中に散りばめられた小さなそれらを、今年の秋はいくつ見つけられるだろうか。
そのように思いながらミルクティーを口に運ぼうとしたとき、
隣りのテーブルから、「もう、優柔不断なんだから。さっさと決めてよ。」と女性の声がした。
「そんな風に言わなくてもいいでしょ」と向かいに座っている女性が
少しだけ不機嫌そうに返していた。
「優柔不断」という言葉は、人にとってネガティブに映る言葉なのだと感じた。
私たちの日常は様々なモノゴトでできているけれど、
そのモノゴトは各々がもっている各々の視点で見ているため、
同じ出来事を経験したり、見聞きしても、思うことや感じること、受け止め方はも十人十色だ。
この、モノゴトの見方、視点のことを「フレーム」と呼び、
このフレームを変えることを心理学などでは「リフレーミング」と呼ぶことがある。
女性たちへチラリと目を向けると「優柔不断」という言葉を発した女性は、
自分が発した言葉に対して悪気も、ネガティブな気持ちもなさそうに見えた。
一方、優柔不断だと言われた側は、自覚があったのか、
自分の欠点のように感じていたのか、その言葉をネガティブに捉えたように見えた。
例えば、この時、「優柔不断」と言う言葉ではなく「慎重に選ぶのね」と言われていたのなら、
もしかしたら、彼女の感じ方や受け取り方に変化があったかもしれない。
他にも飽きっぽい性質は好奇心が旺盛だとも言え、
口下手は、視点を変えれば聞き上手だとも言えるわけで。
人は無意識に自分が見たいように、受け取りたいように感じることが多いもの。
そう分かってはいても、ポジティブを意識すると上手に切り替えられないこともあります。
そのような時は、お洋服を着替えるように、メガネを取り替えるように、
「ポジティブに」という言葉を「リフレーミングを試してみようかな」という言葉に変えて、
モノゴトや自分気持ちを前向きな視点に切り替えてみてはいかがでしょうか。
秋は人の気持ちを少しだけセンチメンタルにしますから、
自分の気持ちにも大切な方の気持ちにも、優しく寄り添ってあげてみてくださいませ。
今日も心穏やかな1日でありますように☆彡