最近、ムーミン谷のムーミンママの言葉を思い出した。
そうしたら、居ても立っても居られなくなり
久しぶりにトーヴェ・ヤンソン原作のムーミンの洋書を手に取った。
パラパラと捲るだけでも癒されるけれど、
私のターゲットは子供の頃から“スナフキン”だ。
スウェーデン語の原作での名前の意味は「嗅ぎ煙草(スナフ)を吸う人」で
“スヌスムムリク”と言うのだが、
舌を噛んでしまいそうなこの名前は読みづらいということで
日本では英語訳の“スナフキン”が定着している。
私は子供心にあのグリーンの出で立ちにくぎ付けになった。
ちょっとみすぼらしい風貌にも見えるのだけれども
それさえも“味”のように思えたし、
ひょろっとした、一見頼りない釣り竿を手に歩く姿は
どことなくスナフキンの余裕にも思えたのだ。
それからしばらくして大人になった私は、何気なくムーミンの本を手に取った。
絵柄から「懐かしいな」そんな軽い気持ちで手を伸ばしたのに
ページを捲るたびにムーミンの世界へ引き込まれ、
ムーミン谷の住人になるのにそれ程多くの時間は必要なかった。
私は、この世界と住人に触れ衝撃を受けた。
その時々の自分と共鳴するのセリフに必ず出会える、
子供の頃には見えなかったもう一つの世界がそこにはあったのだ。
私が好きなスナフキンのセリフに、こんなものがあります。
“人と違った考えを持つことは一向にかまわないさ。
でも、その考えを無理やり他の人に押し付けてはいけないなあ。
その人にはその人なりの考えがあるからね。“
“この世にはいくら考えてもわからない、
でも、長く生きることで解かってくる事がたくさんあると思う
君たちも大人になればわかるさ。
ある意味で、大人は子どもよりももっと子どもみたいになることがあるんだよ。“
“あんまり大袈裟に考えすぎない様にしろよ。
何でも大きくしすぎちゃ駄目だぜ。“
そして、いつも穏やかなムーミンママのセリフには、
“なにかがわかるまでに、
すごく時間がかかることが、あるものなのよね”
“さあ、あしたもまた長い、いい日でしょうよ。
しかも、はじめからおわりまでおまえのものなのよ。
とてもたのしいことじゃない!”
硬くなったこころを温かく包んでくれるような
セリフがたくさんあります。
そして、サーカスのプリマドンナの馬は、こんな事を言っているんです。
“初恋と最後の恋のちがいを、ご存じ?
初恋は、これが最後の恋だと思うし、
最後の恋は、これこそ初恋だと思うもの。”
『ム―ミン』を子どもだけのものにしておくのは勿体ない。
キャラクターだけを楽しむのも勿体ない。
大人になった今だからこそ
じっくり手に取ってみてほしい作者の愛が詰まったムーミンの世界。
あなたも触れてみませんか?