そろそろ、ひな人形を出す季節ですね。
私はどういうわけか、子どもの頃から一般的なひな人形に興味がありませんでした。
興味がないというよりは私好みのお顔立ちのひな人形に出会えなかったのです。
母は一緒に選ぶことを楽しみにしていたのか、
ひな人形を見に行かない?とよく言っていました。
しかし、その度に要らない、行かないと答える娘を
どんな風に見ていたのだろうと、ふと思うことがあります。
実家では母の趣味で選んだシンプルなものが飾られていたけれど、
このやり取りは大人になってからも続いていました。
ある時、素敵なひな人形を作っていただいたから送ると言われ、
届いた箱を開けてみると、それはそれは素敵なウサギのひな人形でした。
高齢の職人さんが全て手作業で作っているそれは、
たくさんは作ることができないため、順番待ちもすごいのだとか。
古い着物柄の布を丁寧に組み合わせられた素敵なお着物を来たウサギなのだけれど、
これにはあっさりと心を奪われたのです。
ひな祭りは春の訪れをお祝いする意味もあるので、
この年から私は立春を過ぎたころになるとウサギ雛を出して飾り、
一年のうちの一か月程を同じ空間で過ごしています。
ひな祭りの由来は様々ところで目にされてきたかと思いますので、
ここでは視点を変えて「ひな人形」の配置についてご紹介したいと思います。
お好きなお飲み物片手に、のんびりお楽しみくださいませ。
【ひな人形の配置には意味があった!京都は男雛と女雛の位置が逆?!】
一般的には自分から見て向かって左に男雛を、右に女雛を配置します。
しかし、これは昭和初期ごろから東京を中心に広まった新式なのです。
この並びは、御所に関係しています。
御所には、公的な儀式が行われる紫宸殿(ししんでん)という正殿があります。
この紫宸殿(ししんでん)は南向きに建っています。
天皇から見て日が昇る方角は左側、ということで、左側位が高いとされています。
左大臣・右大臣で左大臣が偉いというのも、これが元ですね。
私たちの身近な例を挙げますと、
結婚式の披露宴での新郎新婦の並び方があり、
特別な意味合いが無い場合は新式の並びを採用してる事が多いかと思います。
他にも食卓でご飯茶椀を左側に置きますよね。
これも、たくさんの恵みの詰まったお米を大切にしてきた日本人の、
お米を「ありがたく、たいせつに頂く」という気持ちから左に置いています。
それでは、旧式に意味が無かったのかというと、
そうではなく旧式には別の視点がありました。
古来の日本文化では、陰陽説の考え方の影響があり、
※陰陽説に関しましては、また機会がありましたら……。
これを元に男性は向かって右、女性は向かって左とされてきました。
京都や関西地区などで男雛を右、女雛を左に配置する習慣のところは、
陰陽説を元にした旧式を受け継いでいるようです。
しかし、不思議なこともあるのです。
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、
新式の男女の並びを採用しているのは男雛、女雛だけで
その他の三人官女、五人囃子などの並びは古のまま旧式なのです。
どうして、男雛と女雛だけに新式が採用されているのか。
この点は未だ謎のままなのだそうです。
この時期、様々な場所や映像などでひな人形を目にすることがあると思います。
旧式を採用しているのか、新式を採用しているのか
男雛と女雛の位置を見て違う視点で見てみるのも楽しいかもしれませんね。
関連記事: