私は換気が大好きなのです。
換気が大好きと言うのも自分で言っておきながら妙な表現だとは思うのですが、
今はこのストレートな表現しか持ち合わせていないのでございます。
朝起きて窓をぱーっと開け放つと、フレッシュ感のある空気が部屋の中へ入ってきますでしょ?
あの瞬間がたまらなく好きで、起床時は目なんて半分閉じているにも関わらず
しっかりと窓だけは開けて回るのです。
その日は、どこぞやのお宅のお味噌汁の香りがふわぁ~っと風にのってまいりました。
はぁ~、朝から美味しい香り。
色々な国のお料理をいただくけれど、お出汁とお味噌の香りを前にしたら
無条件に全身の細胞が腑抜けになってしまいます。
奥深いですわね、日本食。
そのような事を思いながら、よそ様の朝食のお出汁の香りを吸い込んでおりましたら、
今は亡き祖母のことを思い出したのです。
縁側で遊んでいた私の元に、
カンナのついた木箱と木材と見まがうような鰹節を持ってきて、
「これ、やってみる?」と言ってくれたときのことを。
教えてもらいながら丁寧に鰹節を削ると、
その瞬間にふくよかな香りが辺りに咲き、
羽衣かと思うくらいにふわっと軽やかな手触りの削りたての鰹節に心が躍りました。
口に入れれば、あっという間に無くなるほどの薄さのなかに
凝縮された旨みの深くて濃くて美味しかったこと。
今の私には毎度、鰹節を削ってお出汁をとることは難しいので、
無添加のパックだしを使ってお出汁をとることがほとんどですが、
時間を気にせず鰹節を削る。
そのような、当たり前だったようなことが今は贅沢のひとつになっているのでしょうね。
そう言えば、鰹節も発酵食品だということにお気づきでしょうか?
つい忘れてしまいがちですが、
鰹節は鰹を煮て、燻し、菌を定着させて1年~数年発酵させたもの。
手間暇かけて作られた発酵食品です。
カチカチに硬くなった鰹節も美味しいけれど、
しっとり感の残るソフトタイプの鰹節も、違う味わいがあって美味しいですよね。
様々なものを存分に追い求めることができ、尚且つ便利な世の中です。
だけれども、自然界には存在しない形に作り上げられた添加物などを
知らないうちに手にしていることも多いもの。
美味しいを創る楽しさや美味しいを分かち合う幸せ、
本物の味や当たり前にある味を大切な人たちと育んでいきたいものです。
この日の我が家は、普段よりも丁寧にとったお出汁で作ったお味噌汁が食卓にあがりました。
いつもよりもほんの少し丁寧にとったお出汁で作るお味噌汁。
皆さんも、今晩、いかがですか?