幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

ナイスキューティクルから魔鏡の世界へ。

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確か、年が明けて間もない頃の外出時のことだったと思う。

電車に乗っていたのだけれど、生憎車内はとても混んでおり、出入口付近から通路中ほど辺りまでグイグイと押し込まれることとなった。

出入口のドアが閉じ電車が走り出したため、窓の外を流れる景色をただ眺めていたのだけれど窓ガラスに、何やらキラキラッと光るものが映り込んだ。

それが私の前の人の頭だと気付き、そおっと視線だけを落としたのだけれど、そこには私が映り込んでしまうのではないかしら、と思ってしまうほどに黒光りした黒髪が揺れていた。

しかも、その黒髪の持ち主は男性である。

内側から輝く髪とは、まさにこのような髪の毛のこと。

シャンプーは何を使っていますか?トリートメントは何か特別なものを?日々のヘアケアで気遣っていることはあります?

心の中であれやこれやと問うてみたけれど、残念ながら目の前の男性は赤の他人である。

もどかしい気持ちを胸に抱きつつ降り際に、そのツヤツヤの髪の毛に向かってナイスキューティクル!と心の中で静かに投げかけて、電車を降りた。

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映り込んでしまうといえば鏡なのだけれど、先日、ミラー(鏡)の語源が奇跡や不思議を表すミラクルであることを知った。

鏡はとても貴重なものだったこともあり、日本だけでなく世界中で神聖なもの、霊力が宿るものとして祭事に使われたり、信仰の対象などとして大切に扱われてきたものである。

それらを思うと、ミラーの語源がミラクルであることは違和感を覚えることなく腑に落ちた。

鏡には魔鏡と呼ばれるものがある。

私は物語に登場するようなアイテムだという印象が強い言葉だったのだけれど、

数年前に京都国立博物館が発表した「卑弥呼の鏡」という異名を持つ古の青銅鏡が、この魔鏡に値するものだったという話を目にし、

魔鏡と呼ばれるものがどのようなものなのかを知ることとなった。

魔鏡とは、ぱっとひと目見ただけでは一般的な鏡にしか見えないのだけれど、

鏡に光を当てると鏡や鏡の背面に刻まれている模様が、光の反射で浮かび上がる仕掛けが施された鏡なのだそう。

もとは、キリスト教の信仰が禁止された時代に、鏡の中にキリスト像を隠し持つときに使われていた技術だったという。

そのようなことを聞けば、遠い日の歴史の授業で「そのようにしてキリスト像を隠し持っていた」というような話に触れたことがあるような気がしたのだけれど、

この魔鏡の話は、その曖昧な記憶を大人になって改めて、記憶に刻み直した話題でもあった。

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鏡をぴかぴかに磨き上げると、どことなく気持ちがスッキリすることがあるけれど、それは鏡が持っているミラクルのひとつなのかもしれない。

ナイスキューティクルの話題から魔鏡の世界へと飛んでしまいましたけれど、

鏡をのぞき込む際には、今回のお話をちらりと思い出していただけましたら幸いです。

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