秋が深まるにつれて日の入りが早くなり、夕暮れを楽しむ時間が短くなったと感じる頃になると、空気の中に冬に匂いが混じりはじめますね。
私は、昼間の青空が夜の深い蒼に染まり始めた時に、
太陽のオレンジ色が青と蒼の狭間に溶けだすように広がる夕暮れがとても好きです。
太陽は、あっという間に沈んでしまうので、この景色を楽しめるのはほんのひと時なのですが、
毎回違う表情をみせてくれるので、つい作業の手を止めて見入ってしまいます。
ちょっぴり切なくて甘い景色はビターチョコのようでもあり、私の心の中の様々な記憶を呼び起こします。
あなたの好きな空はどんな表情の空ですか?
最近、空を眺めましたか?
秋には秋を感じさせる雲があるのをご存知でしょうか?
鱗雲(うろこぐも)や鰯雲(いわしぐも)が代表的なようですが、
意識して空を見てみると確かに秋の空で見かけることの多い雲なのです。
正直なところ、雲の形状はどちらも似ている(と、私は感じる)ので、
細かい事にはこだわらずに鰯雲だ~、うろこ雲だ~、と気分で呼んでいます。
鰯雲が現れると鰯が大量になる兆しだとも言われているそうです。
先人の経験からくる知恵として残されている名だと思うので、大量になる兆しだと知ってからは、
もしかしたら、どこぞの海では鰯が大量なのかしらと、そんな事を想像しながら空を見上げたりしています。
また、菊の季節に空が晴れ渡ることを「菊晴れ」と言います。
菊の花は長寿をもたらす縁起の良い花で、菊に降りた朝露を真綿に移し、その真綿で身体を拭い長寿を願ったとか。
また、特徴のある菊の香りは、邪気を払うと言われて古から大切にされてきた花です。
この他にも、湯船に菊を浮かべる「菊湯」や、お酒に菊の花びらをを浮かべて飲む「菊酒」を楽しんだりもしたそうです。
更には、菊の花びらを乾かして詰めた菊枕も作ったのだとか。
この菊枕、菊の香りが心地良いものだったらしく、恋する人が夢の中に現れると言われていており、
女性から男性への贈り物にもなっていたのだそう。
何だか可愛らしいエピソードですよね。
菊の花ひとつとってみても、先人たちはこんなにも心豊かに日常を楽しんでいたのです。
慌ただしい日々に身を置く現代の私たちには、なかなか真似する余裕が持てない事もありますが、
移動中や家事の合間に少しだけ空を見上げてみませんか?
お子さんと一緒に鰯雲を探してみませんか?
きっとあなたの心と体に癒しを届けてくれるのはないでしょうか。
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