今年、満月を見られるチャンスも残り僅かとなりました。
皆さんはたくさんお月見されましたか?
日本にある「お月見」の習慣ですが、平安時代の貴族たちにとっては優雅で風流な遊びのひとつでした。
当時は、空を見上げて直接月を見ることはナンセンス。
水面に映る月を眺めたり、杯の中のお酒に月を映して眺める事が風流だとされていたそうです。
月を映す為の池まで作られたというのだから驚きです。
皆さんご存知、陰陽師の安部清明はお酒好きだったそうなのですが、彼もまた、杯の中を覗き込んで月を愛でつつ、大好きなお酒を味わっていたのかもしれませんね。
この水面に映る月を眺める習慣に近いお月様の楽しみ方があります。
『月の道』をご存知ですか?
満月の前後の数日間という僅かな時間に運が良ければ見ることができるという「月の道」。
それは天気の良い満月の夜に、海から月が昇りはじめると、月の光が海に映しだされて、細く長いキラキラ輝く光の道が少しずつ少しずつ海面に姿を現します。
その光景はとても幻想的で、月まで歩いていけるのではないかと錯覚してしまう程。
しかし、この時間も永遠ではなく、月の出から1時間もすれば徐々にその道は、海へと溶けてゆくように姿を消してしまいます。
静岡県や宮崎県の海沿いで観る事が出来る素敵な景色です。
月の輝く夜に月の道にお祈りをすると願いが叶う……。
そんな良い伝えもあるのだとか。
一方、西洋で月と言えば真っ先にオオカミ男を連想するそうで、月はまがまがしい物として捉えられている事が多いようです。
所変われば様々ですが、月を特別な物としていた点は同じようです。
満ちては欠け、満ちては欠けを繰り返す月。
私たち日本人は、美しさと儚さが共存する物に、心をぎゅっと掴まれるのかもしれません。
実はこの月、一年に数センチずつ地球から遠ざかっているのです。
ですから、平安時代の貴族たちは、今の私たちが見ている月と同じ月を見ていたのですが、私たちよりも近い距離で月を眺めていた事になります。
今より少しだけ、大きく見えたのでしょうね。
そして、私たちが当たり前のように見ている月、遠い遠い未来ではそう簡単には見る事ができなくなるのかもしれません。
あたり前の事など何ひとつありません。
今日もひとつひとつ丁寧に、ひとつひとつ思いっきり、楽しんで、味わって、時に踏ん張って過ごしましょ☆彡
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