12月8日や2月8日にテレビや新聞、各種ニュースなどで、
事始め、事納めという言葉を耳にする機会があるかと思います。
ただ、この言葉にある「事(こと)」が何を表しているのか区別できなければ、
正しいメッセージを受け取ることができない言葉でもあります。
今回は、これから何気なく耳にするであろう「事始め、事納め」を
ひと足お先に簡単に知ってみませんか?
12月8日と2月8日を「事八日(ことようか)」と言います。
何をする日なのかと言いますと、「事八日(ことようか)」という日は、
事(こと)を始めたり、事(こと)を納めたりする節目を表す日です。
「事(こと)」には、祭り事を表す意味がありまして、
「ことのかみ(年神様や五穀豊穣を司る神様)」という神様をお祭りする日とされておりました。
ただ、少しややこしいのは、この「事(こと)」と言う言葉には2通りの意味があります。
一つ目は、翌年の年神様(歳神様)のことを指しており、
二つ目は、田んぼの神様、五穀豊穣を司る神様を指しております。
ですから、どちらの意味を持たせて「事八日(ことようか)」という言葉を使うかによって、
言葉そのものの内容が変わってくるのです。
そして更にややこしいのは、
内容によって12月8日を「事始め」とした場合は、2月8日を「事納め」とし、
2月8日を「事始め」とした場合は、12月8日を「事納め」とします。
例えば、ある局のニュースで12月8日は「事始め」だと言っていたのに、
別の局のニュースでは「事納め」と言っており、
意味が分からなくなる状況に陥ったりもします。
ニュースなどではサラリと流れていく言葉なのですが、
ややこしさ2ステップ!の言葉なのでございます。
何となく全容を掴んでいただけましたでしょうか。
今度はもっと簡単に時系列でおさらいしてみますね。
翌年の年神様(歳神様)の事始めは12月8日ですので、
この日から年神様(歳神様)をお迎えする準備を始めます。
これが私たちが毎年行っている年末やお正月を迎えるための準備です。
無事に年を越し、お正月気分も街中から消え、
冬の終わりが垣間見える2月8日までに
お正月の後片付けを終わらせ「事納め」します。
と同時にこの日は、田んぼの神様、五穀豊穣の神様をお迎えする「事始め」の日。
現代の私たちで例えるならば、
私たちの日常が本格的に始まる日といったイメージでしょうか。
そして、また秋の収穫を目指して頑張り、
12月8日に田んぼの神様、五穀豊穣の神様は「事納め」をし、
年神様(歳神様)にバトンタッチ(事始め)します。
ニュースなどでは、どうしても主役目線からお知らせすることが多いので混乱することがあります。
ですが、「事始め」と「事納め」の日は2人の神様の引継ぎの日のようなものです。
「始め」の陰には、ひと仕事を終えた神様がいると思っていただくと
内容がこれまでよりも分かりやすく感じられるのではないでしょうか。
神様をお迎えしてという表現を使いますと、
中には仰々しさを感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、
視点を変えて12月8日や2月8日に、このような意味があることを知ると、
自分の生活のリズムを調整しやすくもなると思いませんか?
頑張りすぎていたら一呼吸のキッカケに、
なかなかスタートをきれないと感じていたら自分のを入れ直すキッカケに。
あなたの自由な発想と感性で、先人たちの想いや知恵を活かしてみてはいかがでしょうか。