慌てているオーラを纏うにはどうしたらよいものか。
今に始まったことではないのですけれど、
わたくしは、どういうわけだか“慌てている空気”というものを上手く纏えないようなのです。
その日も、そこそこ慌てておりました。
慌てつつもデパ地下という誘惑ゾーンを素通りできず、
恥ずかしながら、あるお店の前で足を止めておりました。
そこにお行儀よく並ぶは、お出汁がたっぷり染み込んでいるであろう
ぷっくりツヤツヤのお揚げに包まれたお稲荷さん(いなり寿司)たち。
ライティングか、お店が醸し出す雰囲気か、
はたまた招き猫ならぬ稲荷神(いなりのかみ/いなりしん)の使いであるキツネの手招きか。
その時の私はバッグの中からお財布を取り出しながら
視線はお稲荷さん(いなり寿司)まっしぐらでございました。
手早くお会計を済ませて立ち去る予定だったのですけれども、お店の方に、
「キツネは稲荷神(いなりのかみ/いなりしん)のお使いだと言われているんですけれどね、」
と切り出されてしまったのでございます。
この方、わたくしがこのような話に食いつくことまで見抜いたのだろうかと思いつつ、
「(手短に!どうか手短に!!何卒!!!)」と心の中で叫びつつ話を伺ったのです。
幸せのレシピ集内でも何度か、
「春になると山から神様がやってきて田んぼの神様になり、
秋の収穫が終わると山に帰り山の神になる」
というお話をさせていただいたことがあるので
何となく覚えている方もいらっしゃるかと思いますが
キツネの行動は、この神様の行動に似ているそうなのです。
キツネは春になると山から人里へ出てきて田んぼに居るネズミを食べ、
秋の収穫が終わる頃に山へ帰っていくため、
キツネは稲荷神(いなりのかみ/いなりしん)のお使いだと言われ、
大切に扱われはじめたとのこと。
わたくし、どのような経緯でキツネが稲荷神(いなりのかみ/いなりしん)のお使いになったのか、
という所までは知らなかったため、気付けば聞き入ってしまったのでございます。
その後は、一目散に駅のホームに向かいまして、
無事に予定していた電車に飛び乗ることができました。
お店の方のお話に補足させていただくと、
元々、稲荷神(いなりのかみ/いなりしん)は田んぼの神様でしたので、
五穀豊穣を祈願していましたが、
時代を経る中で五穀豊穣、商売繁盛、家内安全を祈願するようになりました。
そして、今月は豆まきや恵方巻をいただく年中行事があったばかりですが、
初午(はつうま)と言って初午詣で(稲荷詣で)をして、
商売繁盛や家内安全祈願をする行事もあります。
稲荷神社の近くにお住いの方や御商売をされている方にとっては
身近な行事のひとつなのかもしれませんね。
初午詣で(稲荷詣で)のは2月最初の午の日に行われておりまして、日付は毎年変わります。
今年(2017年)は、2月12日です。
慌てている時に限って思わぬ足止めにあうこともあるけれど、
日々は、こうした様々なご縁によって豊かになる部分もあるのでしょうね。
今月は、お稲荷さん(いなり寿司)を召し上がりつつ、
このようなお話はいかがでしょうか。
いつも足を運んでくださる皆さん、ありがとうございます。
そして、最近お疲れ気味だという方、今年はまだまだ始まったばかりです。
たまには楽も取り入れながらお過ごしくださいませ。