先日、西洋のシンメトリー文化、日本のアシンメトリー文化の話題に触れたからだと思っているのだけれど、
そのような視点に絡む話がポツリ、ポツリと舞い込んできている。
それならば、この流れに身を任せ、今回は、先日の視点とは少し異なる、
それぞれの様式がもたらす「効果」という視点で触れてみようかと思っております。
お時間ありましたら、または、この機会に、シンメトリーとアシンメトリーの世界をもう少しだけ、
深く知ってみようかしらと思われた方は、のんびりとお付き合いいただけましたら幸いです。
シンメトリー(左右対称)とアシンメトリー(左右非対称)は、「文化」という言葉とセットで使われることもありますが、
「効果」と言う言葉とセットにされることもあるかと思います。
シンメトリー効果とは、完璧に左右対称に仕上げられている物や人の顔などに対して、
美しいという印象や安定感や安心感、更には信頼感や誠実さなどを抱かせることを言い、
実際にシンメトリーは、これらの印象や感覚を人に感じさせやすいと言われています。
例えば、身近な方の笑顔を想像してみてください。
左右の口角がきゅーっと上がった状態で微笑んでいたり、左右の目が笑っていることが分かると、
安心したり、優しさを感じるのではないでしょうか。
次に、その笑顔が、顔の半分だけのみを使った笑顔だったり、片方の口角のみが上がっている、というアシンメトリー状態だった場合、
どこか冷ややかな印象を受け、本当は何を考えているのだろうか、信頼しても良いのだろうかと、
不安や不信感を抱くのではないでしょうか。
とてもざっくりとした例ではありますが、これが、シンメトリー効果、アシンメトリー効果と言われるものです。
このような例を挙げると、シンメトリーは良くて、アシンメトリーはダメだというように見えることもありますが、実際はそうではありません。
例えば、左右を非対称にデザインしたアシンメトリーのロゴや装飾品、ファッションなどもそうですが、
それらは、個性的に見えたり、ファッショナブルに見えたり、何かと魅力的に映ることがあります。
と同時に、アシンメトリーに触れ慣れていない方や、見慣れていない方にとっては、
少々落ち着かない印象を受けることもあるかと思います。
それでも、その時々のファッショントレンドをイメージしていただくと良いかと思うのですが、
見慣れるにつれ、触れるにつれ、見る側の感度が上がり(それに慣れ)、
アシンメトリーデザインに対して、安定感や安心感を抱くようになります。
このように、私たちは、日常生活の中でも無意識に、
シンメトリー(左右対称)やアシンメトリー(非対称)が持つ、様々な効果を感じながら、影響を受けながら生活しています。
そもそも、自然界には私たち人間も含めてシンメトリーであるものの方が少ないため、
見慣れていないシンメトリーを追求してみたくなったり、憧れを抱くのかもしれません。
インテリアでシンメトリーを意識すると、空間をすっきり、さっぱりとまとめ上げることができることができます。
これによって得られる心地良さ、落ち着きなどがありますが、あまりにも左右対称を追求しすぎてしまうと、
あったはずの心地よさや落ち着き感が無くなることもあります。
たまに過ごすホテルでの生活は、頭の中までスッキリするようで安らぎますが、
24時間365日、その空間で過ごすことを想像すると、
素敵だけれども、綺麗な空間だけれども、何だか落ち着かないといった、
異なる感想を抱くこともあるのではないでしょうか。
そして、今度はメイクという視点から覘いてみたいと思うのですが、
シンメトリー、アシンメトリーといった話題に触れるとき、名が挙がる女優がいるのです。
彼女は、20世紀で最も美しい女優と言われる1人でもあるため、ご存知の方も多いかと思いますが、
映画『風と共に去りぬ』でスカーレット・オハラという女性を熱演した、ヴィヴィアン・リーという女優です。
元々美しいお顔立ちの女優なのだけれど、
この作品の中に登場する、彼女の右の眉が持ち上がる時の美しさといったら。
左右非対称だからこそ増す美しさがあることを、証明しているようにも見えるのです。
実は彼女、自身の左右対称である美しい顔のバランスを、メイクによって敢えて左右非対称にしたことで、
注目を浴びるようになったという話もあります。
女性は、メイクなどで左右対称を意識することがあるかと思いますが、
完璧に左右対称の顔に整えた途端、
美しくなるはずであった顔から華が消えると言われることがあります。
ヴィヴィアン・リーがしたことと反対です。
気持ちは完璧なシンメトリーを目指しつつ、アシンメトリーを残した
ある意味“なんちゃってシンメトリー”の、アンバランスなバランスに、人は魅せられるのかもしれません。
暮らしの中の至る所に存在する2つの文化と効果。
程よいバランスで取り入れ、楽しみ、親しみ、融合させながら活用していきたいものです。
今回も、最後までお付き合い下さった皆さん、ありがとうございます。
感謝の気持ちを込めまして、本日はこの辺で失礼いたします。
今日も、良き日となりますように☆彡
関連記事:
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/