アラームが鳴る1時間ほど前だっただろうか。
スッキリと目覚めたまでは良かったのだけれど、ブラインドの隙間から外をのぞいてみるも、外はまだ真っ暗。
やけに冷たくなっている顔を、両の掌で包み込みながらリビングへ向かった。
半ばオートマティックに、電気をつけ、エアコンのリモコンスイッチを押し、いくつかのスイッチを押して回ったところで、コーヒーメーカーをセットし、マグカップに白湯を注いだ。
ここまでザッと4、5分程度なのだけれど、自分が思う以上に、スイッチひとつ、ボタンひとつで、ある程度のことが起動する生活をザッと見渡し、
特別な意味や想いはないのだけれど、この時代でよかった、ここが日本でよかったと胸を撫でおろした朝である。
そう言えば以前、医療従事者の知人から、起き抜けのコーヒーには気を付けた方がいいのだという話を聞いたことがある。
すっきりとした目覚めを促してくれて、適量のコーヒーは体にも良いのではないのかと返すと、
コーヒーそのものには、そのような働きがあるため、決して悪いと言っているのではないけれど、
飲むタイミングや飲み方にはコツがあるとのこと。
体調や体質、日頃からの食生活や生活習慣によって個人差はあるようだけれども、
起き抜けや空腹時にカフェインの多いコーヒーを口にすると、血糖値を上昇させやすい一面がコーヒーにはあるという。
そう言っておきながら、ご本人は、起き抜けにコーヒーを口にすることが多いらしく、この悪い習慣を何とかしたいけれど、なかなか難しいのだと仰っていた。
そのような話を思い出しながら白湯を飲んでいると、窓の外、東側の空が赤みを帯びたオレンジ色に染まり始め、冬の空がジワリとジワリと目覚め始めたようだった。
こういう空気感を言う言葉があったはずなのだけれども……寒、かん、カン。
思い出せぬまま、その日は始まった。
ひと息つくことができた夕方、遅めの昼食を口にしながら再び、「寒、かん、カン」と頭の中に響いたけれど思い出すことができず、スマートフォンの表面に指先を滑らせた。
探していたのは、冬の季語である「寒暁(かんぎょう)」だった。
「寒暁(かんぎょう)」とは、この時季の、日の出間際の寒さ厳しい短いときを表す言葉で、寒暁の空などと使われる。
冬の朝と言えば、幅広い時間帯を簡単にとらえることができるため、口にし易い表現なのだけれど、
「寒暁(かんぎょう)」は、美しい、冬の朝空をピンポイントで切り取ることができる、とても贅沢な表現であるように思う。
日の出間際の空に触れる機会があったなら、この贅沢な表現を景色と共に感じてみるのも、冬の贅沢ではないだろうか。
あれやこれやとお話が飛んでおりますが、ご自分の感性やタイミングで、何かしらを自由に感じていただけましたら幸いです。
今日も良き日となりますように☆彡
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