年末年始に感じた街中の静けさも消え、すっかり日常が戻ってきている。
冬ならではの、毛穴がキュッと引き締められるような冷たい空気に触れたくて、飲み物片手にベランダのガーデンテーブルへ移動した。
空は、どんよりと沈んだ色をしていて、雨が降る前のようだった。
鼻先を、マグカップから立ちのぼる湯気に温められながらルイボスティを飲んでいると、亡き祖母が言っていた「寒九(かんく)の雨」という言葉を思い出した。
この時季の冷たい空気と曇り空が、いつぞやかの祖母との記憶に触れたのだろう。
今回は、この言葉から見える景色を一緒にのぞいてみませんか。
ご興味ありましたら、お好きなお飲み物片手に、お付き合いいただければと思います。
寒九(かんく)というのは、寒の入りから数えて9日目の日を指しています。
寒の入りという言葉はよく見聞きするかと思いますが、
季節を細かく分けで表す二十四節気(にじゅうしせっき)にある、小寒(しょうかん)という日を「寒の入り」と言っております。
この寒(かん)の時期が明けるのが立春です。
ですから立春は、別名、「寒の明け」と表現されたりもします。
この寒の入りから寒の明けまでの約一か月間を、寒、寒中(かんちゅう、や寒の中などと呼び、一年で一番、寒さが厳しい時期だと言われてきました。
この時季のご挨拶に、寒中見舞いというものがありますが、一年で一番、寒さが厳しい時期のご挨拶ということです。
少し話が逸れてしまいましたが、2019年の寒の入りは1月6日ですので、今年の「寒九」は1月14日ということです。
この、寒さが厳しい寒(かん)の時期には、その様子を細やかに表現する言葉が多々あるのですが、
その中のひとつに、今回触れております「寒九の雨」というものがあるのです。
これは、古から使われてきた豊作占いが元になっている言葉で、
寒九の日に雨が降ると、豊作の前触れだと言い伝えられてきたようです。
日本には、このように特定した日のお天気を見て、その年の豊作などを占ってきた歴史があります。
誰にでもできる占術と言っても良いと思うのですが、言葉を少しだけ深くのぞくだけで、
季節の背景だけでなく古の占術を手に出来るのも、言葉を知る上でのちょっとした楽しみではないかと思います。
この占術を使いますと、今年の寒九は寒の入りから9日目ですので、14日に雨が降れば、豊作の前ぶれの雨だということです。
寒九までは、もう数日ありますので、14日は「寒九の雨」という言葉をちらりと思い出していただき、豊作の吉兆を占ってみてはいかがでしょうか。
古には、このような占いがあったようですが、長い目で見れば、豊作の為には雨の日も晴れの日も無くては困りますので、
目の前に広がる景色を言葉と共に温かい眼差しで感じていただければと思います。
女性の皆さんは、そろそろ年末年始の疲れが出てくる頃でもありますので、ほっと一息つくこともお忘れなく。
本日も、良き日となりますように☆彡
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