売場から発せられる華やかで軽やかな色彩に引き寄せられてしまうのだろうか。
はっきりとした理由は分からないのだけれど、春になるとハンカチを新調したくなる。
正直なことを言えば、とびっきりのお気に入りばかりでなくても、好みを大きく外れていなければ使用に支障はない、そう思っていたりもするアイテムなのだけれど、
やはり丁寧に「これがいい」と思って選んだハンカチは、使うとき、少しだけ気分が上がるように思う。
更にハンカチは、いつもの好み、いつもの自分、無難だからなどといった、無意識に条件にしてしまっている基準を、
ひょいっと取り除いき、女性が持っている小さな冒険心を満たしてくれるアイテムでもある。
今年は、贈り物にするハンカチを選ぶために売場へ足を運んだのだけれど、ちゃっかりと自分の分も加えることにした。
ワクワクしながら選んだのは、鍵モチーフが散りばめられた遊び心と華やかさが入り混じった1枚。
私のそれも贈り物同様にきれいにラッピングを施してもらい、自宅で2度目のワクワクを味わいながら封を切った。
目移りする対象がそばに無いからか、店頭で見ていた時よりも鍵が鮮明に感じられ、何だかいいことが舞い込んできそうな気がした。
ヨーロッパで鍵は、様々な幸運を運んできてくれるモチーフのひとつとして人気なのだけれど、スペインでは、病気や怪我を治してくれる力を秘めたモチーフとして親しまれている。
日本で言うところの「健康第一」のようなお守りの意味も含まれており、
雑貨店やアクセサリーショップには必ずと言っていい程、鍵モチーフのアクセサリーが並んでいる。
この話を聞いたとき、「健康第一」の文字を直接ぶら下げるよりもさり気無くて、お洒落で良いじゃないと思ったのだけれど、その扱いはとても直球だった。
例えば、頭痛や腹痛に見舞われたときには、鍵モチーフのものや自宅や車の鍵を痛い場所に当てたり、背中に当てたりするのだ。
多分、「痛いの痛いの飛んでいけ」と言うおまじないに似たような感覚だと思うのだけれど、歴史ある言い伝えのようだ。
鍵は、もともと大切なものを守るためにかけるものだから、幸運モチーフや健康を守るモチーフ問わず、自分や大切な誰かを守るという意識がもとになっているように思う。
新調したばかりのハンカチに散りばめられた鍵モチーフを眺めながら、
思わぬ形で健康祈願をする日となったことに気が付いた夜である。
大切な方の健康を願いたいとき、鍵モチーフの何かをお守りに添えてみてはいかがでしょうか。
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