先日、オーストラリアの某大学図書館にて異臭騒ぎが発生したというニュースを目にした。
とても強力なガスの臭いがしていたため、学生や学校の職員たちは緊急避難し、消防士や救助隊、専門員など多くの方が状況の確認や処理のために出動したとあった。
このガス漏れ騒ぎに多くの方が不安な思いをしたと思うのだけれども、強力なガスの臭いのもとは、館内のゴミ箱に捨てられていたドリアンだったそうだ。
ドリアンと言えば果物の王様、悪魔の果実など、様々な呼ばれ方をしているフルーツだ。
一度口にすれば、そのクリームのような、ねっとした滑らかな舌触りと、自然が生んだ濃い甘さの虜になるのだとか。
これだけを聞けば果物の王様だけれども、その臭いは異臭騒ぎになるほどのもので悪魔の果実との異名も持っている。
私は、ドリアン未経験なのだけれど、臭いに関しては遠巻きに経験済である。
社会人になり数年経った頃だったと記憶しているのだけれど、就業時刻も十分に過ぎた頃である。仕事場で、このニュースに似た異臭騒ぎが起きた。
生ゴミのような、腐ったネギや玉ねぎの類のような臭いに濃縮された硫黄臭が混ざったような臭いがフロアーに漂い始めた。
その臭いは次第に強さを増し、フロアーに残っていた全員が何事だと廊下に顔を出し、直ぐに外へ出ようという話になった。
軽く荷物をまとめて階段を降りていくと、更に増していく異臭に少しだけ命の危険が頭を過った。
しかし、3階ほど下のフロアーに達したときだ、何人かの人たちが慌てている声がした。
一所に避難していた最年長者は、様子を見に行くと言い、私たちを更に下の階へと促し、ひとり異臭元のフロアへと向かって行った。
ビル1階にあるロビーに辿り着いた私たちは、いつの間にか異臭を纏ってしまっていたようで、周りから異様な眼差しを向けられていた。
その直後だったと思う。
ビル内の放送で、異臭の原因は、ある部署の面々がドリアンを食べようとして解き放ってしまったドリアンの臭いだと伝えられた。
翌日、ビル内はドリアン騒動で持ち切りだった。
風の噂では、ドリアンというものを経験してみようと盛り上がり取り寄せたまでは良かったのだけれど、
次第に強くなる臭いを前に、完全に熟すのを待っていたら異臭騒動を起こしかねないから、その日、少し早めにナイフを入れたという。
あの異臭レベルで完熟ではないのだとしたら、やはりドリアンは悪魔の果実だ。
私だけでなく、一緒に避難した全員がそう思ったはずである。
しかし、例外だったのは私たちを先に避難させ状況確認へ行った最年長者である。
異臭騒動の最中、ご相伴にあずかったというではないか。
その感想は、ドリアンは臭いけれどとても美味しく、まさに果物の王様だというもの。
ドリアンを食べたら病みつきになったという話もあるらしいけれど、どうやら、アタリドリアンに当たったのだと思う。
「当たった」というのは、その後私は、ドリアンを食べたことがあるという方にお会いしたことがあるけれど、全員がドリアンは人間の食べ物とは思えない臭さだと言っていた。
だから、ドリアンにはアタリ、ハズレがあるようだと思っていたのだけれど、このドリアン騒動のニュースをきっかけに当時の騒ぎを思い出し、
もしかしたらドリアンには相性のようなものがあるのだろうか、と思ったりもしている。
ワタクシ、割と一度は自分で経験してみようと思うタイプなのだけれど、あの日抱いた異臭の恐怖感からだろうか。
ドリアンは遠くから、いや、ネット越しに眺めているだけで十分、そう思っている。
アナタにとってドリアンは果物の王様となるか、悪魔の果実となるか。
その答えが出るようなことがありました際には、柊希までご一報いただけたらと思います。
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