新しい環境への旅立ちを控えている方、旅立つ誰か、を見送る立場の方、
自分自身の人生の新た1ページを捲ることを決心した方、
どちらでもないけれど春の匂いに触れることで、自分が新しい一歩を踏み出した時のことを様々な角度や立場から思い返される方、いらっしゃると思います。
そのような時に触れてみて欲しい作品のひとつに、「魔女の宅急便」があります。
多くの方は、ジブリ作品としての印象が強いかと思うのですが
実はこの「魔女の宅急便」は、角野栄子さんの絵本が原作です。
※文庫本などもあります
宮崎駿氏によりジブリ版にはアレンジが加えられていて、原作と異なる部分もありますが、
基本となる設定やお話の核は、原作にそって作られています。
ジブリ作品を一度見て内容を知っているから原作はもういいや、と思われた方。
ジブリ作品は原作の最初の部分をフォーカスしているだけで、お話には続きがあります。
その続きこそが、大人の女性の心を優しくノックするのです。
原作では主人公の少女キキの13歳から、大人の女性になったキキの35歳までが描かれています。
子どもから大人になるための、自立するための、スタートラインに立った時のワクワク感や、まだ世の中を知らないからこその無鉄砲さ。
踏み出した世界で出会う、様々な出来事や様々な人々を通して、世の中と自分を知っていく過程。
何度も壁にぶつかって自分の進むべき道に迷ったり、
自分に自信が無くなって立ち止まったり向き合ったり。
その中で様々な愛に触れて、感じて、結婚して母になる主人公のキキ。
多くのことに悩んだり、傷ついたりしながらも、何度も何度も前を向いて成長していく主人公のキキに、
多くの女性が自分を重ね合わせるのではないでしょうか。
主人公のキキに共感するだけではなく、お子さんがいらっしゃる方は、
キキを送り出すキキの母親の気持ちや、キキが大人になり子育ての中で感じている母親としての気持ち、
子供を見守る立場にも共感できるでしょう。
この「魔女の宅急便」は、読む人が手に取る時期や、その時の環境、その時感じている様々な事柄によって、
気づかされることや、自分を重ね合わせる登場人物、シーンが変化する作品です。
親子で読めば、きっとそれぞれの視点があり、
違う角度から互いの気持ちが交わる瞬間もあるかもしれません。
映像の世界ではないからこそ見える世界、
触れることができる世界が広がっています。
新しい季節は、まだ見ぬ未来に不安になったり悩んだり、
ちょっと自分に自信が無くなる瞬間も見え隠れして
落ち込んでしまう日があったりもするのだけれど、
きっと未来は明るく出来ると思うのです。
そうなる自分を自分が信じることができたのなら、きっと。
あなたは「魔女の宅急便」の中の誰と自分を重ね合わせるのでしょうか?
どのようなメッセージを受け取るのでしょうか?
登場人物たちから元気や、感動、温かい気持ち、幸せのかけらなど、たくさんの贈り物が届くかもしれません。
興味を持たれた方は、角野栄子さんの「魔女の宅急便」を手に取ってみてはいかがでしょう。
今回は旅立ちの季節におすすめしたい作品をご紹介させていただきました。
※ストーリーのあらすじは、あえて割愛させていただきました。
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