幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

“いつもどおり”ではない時間に出会ったもの。

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自宅近くで夏祭りの準備が始まっていた。

辺りには、遠足や学園祭前のような非日常的高揚感が漂っており、胸の内側が、その空気につられて弾むような気がした。

お祭りの本番には行くことができないだろうと思い、辺りを少しだけ散策し、準備風景から夏祭り気分を感じることにした。

お祭りの裏側をのぞきみるということは、時折「知らなきゃよかった」と思うような場面を捉えてしまうこともあるのだけれど、それはそれ。

大人の度量で受け止めてサラサラリと水に流し、気持ち新たに夏祭り気分を味わうのである。

そのような裏側も楽しみつつ歩いていると、吊り下げタイプの苔玉を並べているお店を発見した。

インテリアショップなどで時々見かけるようなものと大差なく、おしゃれなデザインのものが目に留まった。

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中には昔ながらの、苔玉の下に風鈴が吊り下げられたものもあり、とても涼し気だった。

しかしワタクシ、この物体の名をこの時に初めて知ったのである。

この吊り下げタイプの苔玉は「釣り忍(吊り忍/軒忍)」という呼び名があり、日本の古い園芸文化のひとつなのだそう。

釣り忍(吊り忍/軒忍)とは、針金や竹などを芯に使い苔を巻き付けながら、様々な形に形成したものに、

シダ科の「しのぶ」という植物を巻き付けたり、差し込んだり、這わせたりして「忍玉(しのぶだま)」を完成させるという。

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もとは、江戸時代の庭師たちがこれを作り、お得意先へ贈ったのが始まりで、定番とされている丸い忍玉(しのぶだま)以外にも縁起物の形をしたものもあったのだとか。

最近では、古の良さを引き継いでいるデザイン以外にも、現代人の住まいに合ったデザイン性の高い釣り忍も増えているそうだ。

当時から様々な形があったところを見ると、忍玉(しのぶだま)は、当時の庭師たちの腕の見せ所であり、作る楽しみを爆発させられるものでもあったのかもしれない。

また、この忍玉(しのぶだま)に風鈴が吊り下げられているものも見かけるのだけれど、こちらのタイプは、涼し気な釣り忍(つりしのぶ)の雰囲気に加えて、

先日触れた、風鈴が持つ「邪気払い」まで兼ねることができるという理由で、当時から人気があったのだとか。

てっきり、盆栽や苔玉ブームの波にのって登場した、インテリア雑貨の類だと思っていたのだけれど、歴史あるものだったようだ。

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シダ科の「しのぶ」という植物は、暑さや乾燥、寒さにまで強く、お手入れ無しで良いというわけではないものの、

植物を育てるのが苦手だという方でも扱いやすい植物だということで、最近は、ちょっとした夏の手土産に利用する方も増えているそうだ。

あまりにも素敵な「釣り忍」が多数並んでいたものだから、足を止めて眺めていると、お祭り準備真っ只中だった店員さんが、準備の手を止め、このようなお話をしてくださった。

「葉っぱが刺さっている吊り下げタイプの苔玉」などと適当に呼んでいたのだけれど、今日からは「釣り忍」と呼ぼう、そう思いながらその場を後にした。

意気込んで出かける夏祭りも良いけれど、こうして自由気ままに散策するプレ夏祭りも思わぬ出会いがあり、いいものである。

釣り忍を目にする機会がありました際には、今回のお話の何かしらをチラリと思い出していただけましたら幸いです。

そして、たまには“いつもどおり”ではない時間など、いかがでしょうか。

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