「パンドラの箱を開けてしっまた」というような文章を、皆さんも何処かしらで目にしたり、耳にしたりしたことがあるのではないでしょうか。
意味としては、大小を問わず何か問題を引き起こしてしまい、それらを抱えた状態を表現しているのですが、この「パンドラの箱」の事をご存知ですか?
この言葉の源流は、「ギリシャ神話」 です。
ギリシャ神話がもとになっている言葉だからなのか、「パンドラの箱を開けてしっまた」というような表現を欧米の方々との会話ではわりとよく耳にするような気がします。
ギリシャ神話の中にある「パンドラの箱」に関するお話を簡単にご紹介すると、神様によって作られた人間の世界は、初めは男性のみの世界でした。
そして、その男性のみの世界には「災厄」といものは在りませんでした。
ゼウスという神様は、これを良く思っておらず息子に女性を作らせました。
ゼウスはその女性に、命と全ての贈り物という意味を持つ「パンドラ」という名前を授けました。
パンドラは、地上にいる他の人間たちの元へ行くことになるわけですが、この時ゼウスは、意味深げな言葉と共に彼女に一つの箱を渡しました。
これが「パンドラの箱 」です。
その時の言葉とは、「この箱は絶対に開けてはいけないよ」というもの。
皆さんだったなら、これをどちらの意味に受け取りますか?
「必ず開けてね」の前振り?言葉通り「絶対に開けてはダメ」。
どちらにしても、このような意味深げな事を旅立ちの日に言われたら、気になってしかたがないと、わたくし、個人的には思う訳です。
彼女も最初は我慢していたらしいのですが、ある日、パンドラの箱を開けてしまいます。
開けた瞬間、箱の中から出てきたのは、悲しみ、裏切り、不安、恨み、争い、嫉妬、後悔、病、死、貧困……それはそれはネガティブな気持ちや想いの種、災厄でした。
箱を開けてしまった彼女は慌ててパンドラの箱を閉じました。
しかし、箱の中から解き放たれたそれらの気持ちによって彼女自身が不安になり、箱を開けてしまった事を後悔するのでした。
すると、箱の中から「私を出してほしい」という声がしたのだそう。
箱を開けた事を後悔している彼女は、パンドラの箱が開いてしまわぬように力いっぱい抑えていました。
しかし、再び箱の中から声が聴こえたのです。
『私は「災い」ではありません。
災いに押しのけられて最後になってしまったけれど「希望」という者だ』と。
彼女はその言葉を信じて箱を開けてみると「希望」は言いました。
私は、これから人間と共にいて、災厄から彼らを救います。と。
だけれども、その為には私の事を思い出してもらわないといけません。
災いは、いつでも人間に降りかかるけれど、私(希望)は人間が気づいてくれないと、支えてあげることができません。
だから、私の事を忘れないで、いつでも思い出してください。と言ったのだとか。
このような事を経て、人間の世界に「災厄」と「希望」が生まれたというお話なのですが、ゼウスは初めから、人間の世界に「災厄」と「希望」をもたらすために、パンドラという女性を作り、災いと希望を詰めた箱を彼女に渡し、彼女が箱を開けるように促したのです。
そう、ゼウスの手のひらの上でコロコロ転がされたというわけです。
だけれども、「「希望」は私たちが「希望」に気づかないと手助けすることができない」というのは、色々な視点から考えてみても奥深いなと思うのです。
「パンドラの箱」には、このようなお話が宿っておりました。
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