家のすぐ近くにある桜並木。
今はまだ裸木で若葉の「わ」の字も目にすることはできない状態だけれども、蕾らしき膨らみが日に日にふくよかになっている。
彼らの、そして春の息吹に触れられるのも、そう遠くはないのだと知らせてくれているかのようだ。
春は卒業や入学、入社、転勤、転入など様々な変化が入り乱れる季節だ。
例え自分自身はいつもと変わらぬ春を過ごすのだとしても、多くの人たちの、沢山の想いで溢れている春は誰の心にも何かしらの跡を残す。
このような季節は贈り物を贈ったり、お返しを贈ったり。
気軽なシーンから、節目の改まったシーンなど品物は様々な心を乗せて行き交います。
子ども自身がお祝いされることも多い季節なので、大人と一緒にそのような場面に触れたり、傍で見ることを通して大人の世界を疑似体験し礼儀に触れることもあります。
既にご存知の方、何となく知っているという方がほとんどだと思いますが、
出会いと別れの季節でもありますので、この機会に一度、風呂敷のマナーを確認してみませんか?
贈り物を持参する時は、本来は風呂敷に包むのがマナー。
ただし、格式が求められる場でない限りは紙袋などでも失礼にはあたりません。
いずれもほこりよけの意味を持つため、包んだまま渡したりテーブルの上に置いたりするのはマナー違反です。
風呂敷を使うことに気を取らわれすぎずに「ほこりよけ」ということや、
本来の風呂敷の意味を知っておくと、振舞いや添える言葉に融通や機転も効かせられます。
贈り物等を渡す際は、直接手で持って渡すことは失礼にあたるとされ、お作法としては風呂敷に包んで持参するのが礼儀とされています。
その際に、包んだまま渡すのが作法とする説と、包んだまま渡すとお返しを催促している意味となるため、慎むべきという説があるようです。
現在では包装紙に包まれているため、風呂敷を解き、贈答品のみ置いていく後者の作法に準じています。
包み方も数多くありますが、格式が求められる場面でも使うことができるものを3つ覚えておくと安心です。
【平包み】
平包みは、格式を重んじる包み方です。
結び目を一切作らない点が特徴です。
こては、「いつまでも解けることのないお付き合いを」という意味がこめられています。
【隠し包み】
こちらは、平包みだと運び難い場合や、遠くへ品物を持参する時の包み方です。
安定感をプラスするために結び目がありますが、この結び目をみせないことで、平包みと同じように格式を重んじる包み方になります。
【お使い包み】
こちらは、様々なシーンで使われる一般的な包み方です。
【紙袋を使う場合】
今は贈り物を贈る際、お店などでラッピングをしていただくので紙袋でご挨拶をするシーンも多いかと思います。
紙袋は風呂敷と同じ扱いになるので、品物を取り出した直後にたたむのが基本。
立って渡すときなど品物を置く場所がないときには、渡した後にたたみます。
不要になった紙袋は持ち帰った方が良いのですが、気心知れた間柄であれば、紙袋の処分をお願いしても構いません。
相手の持ち運びやすさなどを考えたときに、紙袋があった方が良さそうなときは、「紙袋のまま失礼いたします」と言葉を添えるとお互いにいいですね。
もともと「包む」という言葉は、相手を気遣うための言葉なのです。
相手を気遣い、自分の感情を露わにしない。
感情は、ほんの少し包んだほうが人間関係が和やかになる。
このような先人たちからのメッセージも含まれており、「つつましい」にも繋がります。
風呂敷を使用する機会は少なくなってきていますが、
謹んでお贈りする場面に合う基本の包み方だけでも知っておくと贈る側になった場合だけではなく、
贈っていただく側になった場合など、いざという時に安心して振舞えるような気がします。
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