前日、前々日と続けて日の出を拝んでしまったため
さすがにその日の朝は自分にエンジンがかかるまで時間がかかった。
これで無理にエンジンをかけてしまっては
私の細胞たちがストライキを起こしてしまうと読んだ私は、
明日からの自分のために、
いつもより数時間、ゆっくりと過ごすことにした。
もう一度ベッドへ潜り込んでまどろみながら短い夢をいくつか見た気がする。
時間を気にせず眠れる幸せを噛みしめてようやく起床。
朝食用にクロワッサンを買っていたことを思い出して心が弾んだ。
豊かなバターの香りとサクサクッとした食感がたまらないクロワッサン。
一番のお気に入りは、ハムとチーズ、
アボカドとスクランブルエッグの組み合わせを挟んだサンドウィッチ。
気分によっては大粒の果肉が残るジャムを付けて食べるのもいい。
面倒なときは、キッチンでそのまま摘まんだりもして、
たくさんの美味しいカタチを秘めているのが、クロワッサンだ。
この日は冷蔵庫にあったハムと
ワインのお供に準備していたチーズを少し切り分けて挟んで
紅茶と共にダイニングテーブルに運んだ。
クロワッサンと言えばフランスを代表するパンの一つだけれども、
クロワッサン発祥の地はオーストリアだとご存知だろうか。
私は、クロワッサンはフランスのものだと思っていたので
初めて知った時には「え?そうなの?」と拍子抜けしたことを覚えている。
オーストリアのウィーンは昔、
トルコの大軍に数か月近く包囲されていたことがあったのです。
そのような状況下でも街のパン屋さんは、
いつものように真夜中からパンの仕込みをしていたのだそう。
パン屋さんは仕事中、地下から変な物音が響いていることを不審に思って、
オーストリア軍の元へ行き、そのことを伝えにいきました。
実はこの変な物音は、
手強いオーストリアの意表をつこうとしていたトルコ軍が、
地下トンネルを掘ってオーストリアに侵入しようとしていたらしいのです。
パン屋さんが気づいたおかげでオーストリアは救われました。
このことを記念してウィーンのパン屋さんたちは、
トルコ国旗の三日月をパンで作り、これがクロワッサンの原型になったのだそうです。
そして、この約100年ほど経った頃だったでしょうか。
オーストリア皇女でフランスに嫁いだ、
のちのマリー・アントワネットが
パン職人と共にその製法をフランスに伝えたのだそうです。
マリーアントワネットについては、
少し前にもお話させていただいたのですが
彼女がフランスに広めたのはクロワッサンだけではありません。
入浴の習慣とお花やハーブなどの香水も広めたのです。
フランスには入浴の習慣がなかったので、
体臭をごまかすために動物性の強い香りの香水が使用されていました。
一方、マリーアントワネットの育ったオーストリアには入浴の習慣があり、
彼女は嫁ぎ先のフランスでも入浴をしていたため
体臭をごまかす必要がありませんでした。
ですから純粋にバラやハーブなどの素敵な香りを身にまとって楽しんでいました。
これが貴族たちの間で話題になり流行ったため、
入浴の習慣も一緒に広まったのだそう。
マリーアントワネットは様々なエピソードが残っていて、
なかなか興味深い女性です。
※また機会がありましたら、別のお話もご紹介させていただければと思います。
マリーアントワネットのエピソードをあれこれ思い出しながら、
この日の朝はオーストリア発祥のクロワッサンを頬張り、
自分にエンジンをかけたのでした。
皆さんもクロワッサンを召し上がる時には、
彼女のことをちょっぴり思い出してくださいませ。
関連記事:マリーアントワネットが濡れ衣を着せられたエピソードをご紹介しています。