台風の影響なのか、秋の訪れなのか、ここ最近、朝一番に足を踏み入れた時のリビングの温度が和らいできたように思う。
そう言えば、今年の夏はピムスをあまり口にしなかったなと思う。
夏真っ盛りはとうに過ぎ、お月見の準備をしているというのに、私の頭の中はピムスでいっぱいになった。
思い立ったが吉日、来年の夏までお預けなんて嫌だわっ、と大半の気持ちを秋に奪われつつ、過行く夏の背中を見送りつつ、私はピムスの準備をキッチンで始めた。
特に夏の飲み物として好まれているのですが、まだ残暑の残る秋のBBQなどにも合いますので、今回は、イギリスの飲み物「ピムス」をご紹介してみたいと思います。
機会がありましたら皆さんもいかがでしょうか?
このピムスの発祥はイギリス。
ピムスはカクテルを作るために作られたお酒でジンをベースに柑橘類のエキスやハーブなどを加えたリキュールです。
リキュールそのものを舐めてみると初めにハーブなどの苦みが口の中に広がり、その後にしっかりとした甘さと、フルーツの味が広がります。
炭酸飲料で割ったり、フルーツなどをたっぷりと入れると、この苦みが不思議とクセになるアクセントになります。
このジンベースのピムスNo.1の他にもウィスキーベース、ブランデーベース、ラムベース、ライ麦ウィスキーベース、ウォッカベースとNo.6までのフレーバーがあります。
私はオーソドックスなジンベースが一番好みですが、ラムベースも好みです。
ただのお酒でしょ、と思われた方。
ピムスには、これぞピムス!という飲み方があります。
それは、ピムスの中に必ず薄くスライスしたキュウリを入れること、です。
そう、あのお野菜のキュウリです。
お酒が好きな方や少しだけ楽しみたい方によってレシピが変わるのですが、私は、ピムスを炭酸レモネードで割り、イチゴ、オレンジ、レモン、ピーラーでスライスしたキュウリを入れて掻き混ぜ、ミントの葉を乗せて完成です。
英国風サングリアと言っても良いのかもしれません。
炭酸水やサイダー、ジンジャーエールでも美味しいのですが、イギリス在住中に初めて教えていただいたレシピがこれでしたので、私は思い出とともに、このレシピ一筋でございます。
少しだけお酒を楽しみたいという方にお作りする際には、レモネードの量を増やしお好みでハチミツを加えるとジュースのような軽いドリンクに仕上がります。
また、冷凍庫で冷やし固めれば大人専用のアイスキャンディーの出来上がり。
ただし、ピムスは大人だけのスペシャルドリンクだということをお忘れなく。
紅茶のような色をしたカクテルの中に浮かぶフルーツとスライスキュウリが目にも鮮やかで美味しいピムスは、イギリスのテニス選手権、ウィンブルドン開催中も場内でよく飲まれるメニューで多くの人たちがピムス片手にテニス観戦をします。
場内にはピムス専用のバーカウンターまで設置されますので、イギリス人にとっては夏の風物詩ともいえる一杯です。
どこで飲んでも美味しいカクテルですが、青空の下で大切な人たちと一緒に飲むピムスは、また格別です。
機会がありましたら、たっぷりのフルーツとスライスキュウリと共にご堪能あれ。