私、イギリスに住むまで、
クリスマスオーナメントのひとつひとつに意味があることを知りませんでした。
可愛らしいオーナメントの中から好きなものを飾りつければいいのよね。
そのように思っていたのです。
自分好みのオーナメントばかりを手に取り、
少し子どもっぽく見えるような気がした靴下を飾らずにいたのです。
そのような私に、一緒にツリーの飾りつけをしていた小学校低学年のアンソニーが言いました。
「どうして靴下を飾らないの?靴下を飾らないとプレゼントは無いよ」と。
プレゼントを期待するような年齢でもなかった私は、
そうだね、と曖昧な返事を返して靴下には手を付けませんでした。
するとアンソニーは、自分の母親を呼びに行きました。
大きな声で「柊希が靴下を飾らないんだ、どうかしてるよ」と。
「どこの国の子どももプレゼントが楽しみなんだな」
そう思いながら彼の大げさなアクションを微笑ましく思っていたのです。
すると、キッチンに居たアンソニーの母親が木製の大きなスプーン片手に
「靴下は飾らないとだめよ」と真顔で言いに来たのです。
庭に居た彼の父も何やら室内のざわつきを察して室内に戻ってきたではありませんか。
その後、アンソニーの父親から靴下を飾る理由を聞かされたのです。
今回はこのようなお話を、と思っております。
クリスマスツリーのオーナメントには色々なものがありますが、
その中のひとつに靴下があります。
サンタさんにプレゼントを入れてもらうための靴下も用意します。
この風習は、現在のトルコにあるミュラという町に実在した
ある教会の司教だった聖ニコラウスという方のお話が元になっているのだそうです。
この聖ニコラウスさんは、サンタクロースのモデルだとも言われております。
ミュラと呼ばれる町に、貧しい一家がありました。
そこには、3人の娘がいたのですが苦しい生活から抜け出すことが出来ない程の苦しさから、
3人の娘たちは、非常に過酷な仕事に出されることになっておりました。
この一家の話を耳にした聖ニコラウスさんは、真夜中にこの家族の家へと行くのです。
そして、煙突から金貨を一枚、また一枚と、次々に投げ込んだのです。
投げ込まれた金貨は煙突を通り、普通であれば暖炉に散らばります。
しかし、この家族は暖炉に靴下を干したまま寝ていたのです。
ですから、聖ニコラウスさんが投げ入れた金貨は全て靴下の中に入ったのだそう。
翌朝、家族たちは靴下の中の金貨に驚きましたが、
この金貨のおかげで、3人の娘たちは過酷な仕事に出されることは無くなり、
家族がバラバラになることもなく、幸せに暮らすことができたのだそうです。
このようなお話が残っているため、
靴下にはお金だけでなく、家族の温かさや笑顔、
その他様々な幸せが届けられるという意味も含んでいるため、
クリスマスツリーには必ず靴下を飾るものなのだそうです。
アンソニーの父親の話を聞き終えた私に、
「分かった?ちゃんと飾るんだよ?」と言うアンソニーの口ぶりが、
やけに上から目線で気になりましたが、
どこの国の風習にも、何気ない飾りひとつにも、
込められた意味があるのだなと感じた出来事でした。
この日以来ワタクシは、大きな大きな靴下のオーナメントを単体で家族分、
リビングに置くようになりました。
これでは少々ハッピーを欲張り過ぎかしら?とも思いますが、
その辺りはご愛敬ということで。
皆様も、靴下オーナメントを忘れずにご準備くださいませ。
そして、サンタさんを心待ちにしているお子さんがいらっしゃるご家庭では、
靴下の中にはプレゼントだけではなく、
形のないハッピーも届いていることも伝えてあげてくださいね。
先日は、クリスマスツリーのてっぺんに飾る星のお話をさせていただきましたので、
今年のクリスマスツリーは、
オーナメントが持っているストーリーも一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか?
本日も最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございます。
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