人は皆、ぞれぞれに好きなことや、譲れないものがある。
そして、それがその人のイメージ通りのものであるとは限らない。
私は、イメージとは異なる意外な一面に出会うと素敵だなと思う。
いつだっただろう。
夏と呼べる時季ではなかったものの、
その日はとても暑く、夏日だと言われるような日だった。
日もすっかり沈んだというのに
アスファルトから立ち上ってくる熱気は、立ちはだかるビルによって行き場を無くし、
1日フル稼働させた私の体を足元から包み込んだ。
僅かに残っている体力を熱気に吸い取られそうになりながら、
私は、知人との待ち合わせ場所へ急いだ。
待ち合わせの時間には少し早かったけれど、
既にその場所に立っている知人の姿を少し離れたところから確認した。
今日もキリッとしているなと思いながら急いでいると
私に気付いた彼女は、ゆっくりでいいよ、というジェスチャーを出した。
お言葉に甘えて、普段のスローペースで待ち合わせ場所へと近づいた。
彼女は、自分にとても厳しくストイックで、
それが外見にも薄っすらと滲み出ているところがある。
そんな知人の休日の楽しみは、お昼まで寝倒して、あえてダラダラと映画を観て過ごすこと。
初めて聞いたときには意外だと感じだけれど、
その意外な一面に新鮮味を感じるのと同時にとても素敵だと思ったのだ。
だけれども本人は、イメージと違う、もっとアクティブなイメージだった、
などと言われることが多いようで、
自分の楽しみを思いっきり楽しめないことがあるのだと言った。
イメージと違うって言われたっていいじゃない、と思うのだ。
好きなものは好きでいいじゃない、と。
新しい世界を覗いてみようという気持ちで普段とは異なることにトライすることと、
無理をして周りのイメージ通りの自分を演じるためにトライすることは全く別物だ。
誰かに迷惑をかけてしまうようなことでないのであれば、
好きなものごとや譲れないものは思いっきり楽しめばいい。
少しくらいのワガママも含め、
それは、その人を作っている魅力のひとつだと私は思う。
誰の中にも様々な所があって、
その中には相反するようなところもあって、
それら全てが集まって自分を創っているのだから、
イメージと異なる面があったって不思議ではないと思うのだ。
今度の休日は肩の力も心の力も抜いて、
自分自身であることを楽しんでみてはいかがでしょう。
とってもチャーミングな自分自身と出会えるかもしれませんよ。