先日、営業でいらした方から名刺をいただいた。
名刺を差し出されたとき、
今にも消え入りそうなほど控えめだったけれど、優しい香りがふわりと鼻をくすぐった。
内容そっちのけで申し訳なかったかしらと後で思ったけれど、
その、ほんの一瞬だけの香りがあまりにも素敵な香りだったため
名刺香か何かですか?と尋ねてみると、「はい」と少しはにかんだような笑顔で答えられた。
営業という職業柄、色々と気を遣われているのだろうなと短いやり取りから感じた。
私の周りでも、香水よりも扱いやすく、思いがけず香りで迷惑をかけることも少ないため、
身だしなみのひとつとして、
におい袋や練り香水、名刺香、文香といったものを使うようになったという人が増えている。
におい袋とは、古くから日本で親しまれてきた香料入りの袋のこと。
火を焚かなくても楽しむことができ、
お洋服を液体で汚してしまう心配もない。
また、肌が弱くても楽しむことができる上に、
衣類や持ち物を香らせたり、防虫剤として使用することもできる優れものだ。
この手の香りものと言えば、鮮やかな生地で作られた巾着袋いっぱいに
香料が詰め込まれたものをイメージするけれど、
お手紙に忍ばせる文香は、栞タイプのものや、
薄く伸ばしたパイ生地を型抜きしたような可愛らしいものがあり、
お手紙に、ちょっとした遊び心と優しい香りを添えることができるアイテムだ。
名刺香は、シートタイプになっているものや
小さなポチ袋に香料が忍ばせてあるものなど種類も豊富で、
名刺入れに忍ばせておくだけで、ほんのりと香りを添えることができる。
これらは全て、お洋服のポケットや鞄、クローゼットの中などで使うこともできるため、
香水は苦手だけれども身だしなみとして香りをまといたいときに重宝する。
平安時代の貴族は香りを自宅で楽しむだけでなく、
お香を贈りあったり、香りを当てる遊び、聞香(もんこう)を楽しんだりしていた。
香りは女性や貴族だけのものかと思いきや、
武士の方々も目上の方への配慮として身だしなみにも気を配り、香り袋を使用していたと言う。
香りは人の記憶に寄り添う大切なもので、
時に人からの印象までも大きく左右することもあるアイテムです。
華やかな西洋の香水も素敵ですが、
湿度が高く、汗ばむ日本の夏に西洋の香りは、少々重く感じられることもあります。
このような機会に優しい香りをまとって
あなたの印象を素敵に優しく、爽やかに演出してみてはいかがでしょうか。
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