自分でもびっくりしてしまうくらい大きな音でお腹が鳴った。
時計を見ると午後4時だった。
我が家の夕食は少々遅い時間に始まるため、
この時間が私にとってのティータイムだ。
小腹も空いたこともあり少し甘めの柚子茶を淹れた。
爽やかな柚子の香りと甘いハチミツの香りに癒されながら、
しばしの間、どんよりとした曇り空を眺めながら柚子茶を味わった。
空がどんよりとしていると気分まで何となく沈んでしまうと聞くことがあるけれど、
私は曇り空も嫌いではない。
そう言えば、日本のおやつの時間は3時だけれども、
フランスで言うおやつの時間は4時。
これは、フランスのランチタイムが13時頃から始まるため、
おやつの時間も少々ずれ込んでいるのではないかと思う。
もう随分と前の話になるのだけれど、
私が帰国した直後にフランスから友人が訪ねて来てくれたことがあった。
すぐに日本に会いに行くからと言ってくれていたけれど、
そんなに直ぐに現実になることは無いだろうと思っていた私は、
友人の当時の言葉を半分だけ社交辞令に受け止めて帰国した自分に気付いて
複雑な気分になったことがあった。
その友人と共に日本のカフェでお茶をしたときのことだ。
おやつの時間には早すぎるという友人を半ば強引にカフェへ連れ込んだ。
ちょっとお洒落な雰囲気のそこで、「どうぞ」と差し出されたメニューとお水。
友人は、お水を指さして、どうしてこれなの?と首を傾げた。
「これ」というのは、日本のカフェなどでよく見かける
フランスのDuralex社のガラス製のグラスのことだった。
皆さんもよく見かけているグラスでしょうし、
自宅で使っているという方も多いのではないだろうか。
このグラスは、よく手に馴染む上に丈夫で、
さり気なくおしゃれ感を漂わせることができることから日本でも愛用者は多いように思う。
ただ、所変われば品変わる、なのである。
本場フランスでは、その丈夫さから学校の食堂で多用されており、
Duralex社のグラスは誰もが学生時代を思い出すものなのだそう。
そうなると、自宅でこのグラスを使おうと思う人はいないのだとか。
だから、日本ではこれをオシャレだと感じて使っているの?と問われたのだ。
そう聞けば、おしゃれなカフェで、
子どもの頃から慣れ親しんだ学校専用グラスが登場すれば、
そのようなリアクションになっても不思議ではないと納得したことを覚えている。
我が家にもDuralex社のグラスがあるのだけれど、
友人のこの話を思い出したときに思うことがある。
結局のところ、誰かが用意した「おしゃれ」に乗ることも楽しくて良いのだけれど、
そこに自分のどのような気持ちが、どれくらい乗るのか。
それによって、その後の印象も大きく変わるのではないかと。
人はモノゴトを見たいように見る。
それならば、見たい世界をクリエイトしていくことだってできるはずだと。
今日も、ここへ足を運んで下さる皆さんにとって良き1日となりますように☆彡