アロマオイルを購入しているお店が数件ある。
同じ香りでも、素材の育てられ方や入手先、製造過程の違いによって少しずつ異なるため、
自分好みの香りを扱っているお店に出会うと静かに心が躍るのだ。
製造技術の進化により、購入時期によって香りに大きな違いがあるわけではないのだけれど、
封を切った瞬間に感じる「あ、前とは違う」という微細な感覚は、
植物たちの生命力に触れているような気分になったりもする。
ここ最近、外出ついでに数件のアロマオイル専門店に立ち寄った。
一歩足を踏み入れた瞬間に全身を優しく包み込むアロマオイルの香りは、
鼻から体中へ染み渡るようにして広がり、
最後は頭のてっぺんからスーッと突き抜けていった。
店内に漂うオイルの調合を予想しながらアロマオイルを手に取って眺めていると、
近年、アロマオイルの香りは認知症予防になると言われていることから、
ご年配の方がお孫さんと一緒にアロマオイルを楽しむケースも増えているという話が
レジの方から漏れ聞こえてきた。
アロマオイルと認知症予防と言えば、
先月入った専門店でも、そのような内容が書かれた印刷物を頂いていたのだけれど、
日常の様々に追われて読んでいなかったことを思い出し、
その夜の私は、半身浴のお供に、その印刷物を浴室内へと持ち込んだ。
私の脳内に残っていることを簡単にまとめると、
これまでは、認知症を発症すると、
記憶を司っている海馬と呼ばれる部分がダメージを受けると言われてきたけれど、
最近の研究では、最初にダメージを受けるのは記憶を司っている海馬ではなく、
海馬に直結している嗅覚を司る神経だということが分かったという。
この嗅覚を司る神経のダメージは、直結している海馬へのダメージに変わり、
人の記憶を曖昧にさせたり失わせたりしながら、
じわじわと脳全体の機能を低下させていくという流れが認知症なのだそう。
この流れに注目すると、嗅覚が受けたダメージを修復したり、軽減すれば、
認知症を予防したり改善したりすることが可能になるのではということが言われていることから
“アロマオイルの香りは認知症予防になる”という話を見聞きする機会が増えてきているようだ。
人は余裕を無くしているときや元気がないときなどは、香りに対して鈍感になり、
「あぁ~、良い香り~」と思わず香りを吸い込んでしまうようなことが減り、
体が感じられていたはずの香りを認識することを放棄しているかのような状態になることがあるとも聞く。
香りによる心地よい刺激は自律神経を整え、体の機能を正常にし、
心身をリラックスへと導く効果があると言われているけれど、
香りは、体の機能やメンタルだけでなく脳が受けるダメージケアにもひと役買っているようだ。
だから記憶と香りの結びつきは強いのだろう。
そう思うと、心地よい香りを感じることは、私たちが思うよりもずっと大切なことのように思う。
もちろんこれは、嗅覚に限ったことではなく五感全てに言えることでもあると思うけれど。
最近の自分が好きだと感じる香りを知っていますか。
自分が心地よいと感じる感触を思い出せますか。
今日感じた“良い香り”を思い出すことはできますか。
ぱっと思い浮かばない場合は、少々お疲れ気味なのかもしれません。
五感は、自分の状態や自分の個性を知るためのセンサーであり、
心と体のアンチエイジングでもあり、気分を切り替えてくれるスイッチでもあります。
入れっぱなし、切りっぱなしにせずに、時々意識してみてはいかがでしょうか。
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