以前、知人の友人だという中国の方々と食事をしたことがある。
彼らの食事の仕方はとても豪快で賑やかな印象を受けた。
そのように伝えると、それは間違ってはいないけれど、
疲れているときや忙しいときは、食卓が静かなこともあるし、黙々と食べる家族もいる。
夫婦が喧嘩中の場合は、大声が飛び交っているか静まり返っているかだろうと笑って返された。
安直すぎた自分の発言を撤回したい衝動に駆られつつ、
どこの国もその辺りは大差ないのかもしれないと思った。
年に一度、日本に遊びに来ているという彼ら曰く、
初めて日本で食事をしたとき、日本人は行儀が良すぎて、食事を美味しいと感じているのか、
本当に楽しんでいるのか分かりにくいように見えたと言っていた。
中華料理には形式的なテーブルマナーはなく、
一番大切なのは、家族や友人と楽しく食べることなのだそう。
とは言っても、最低限のルールくらいはあるでしょう?と話が広がり、
中華料理を前に実践を交えた最低限のルール講座が始まった。
今回は、そのようなお話を少し、と思っております。
私たちにとっても身近なメニューになっている中華料理ですので、
この機会に、その最低限のルールの一部をチラリ、確認しておきませんか。
まず、取り皿ですが、
中華料理では、料理を取り分ける時や食べる時に、取り皿を持ちあげないのがお作法。
私たちは、食材をこぼさないようにと取り皿を持ちあげて料理を口に運びそうになるけれど、
取り皿を手に取るのも、持ちあげるのも、口元へ近づけるのもNG。
手で持ち上げても良いアイテムは、お箸とレンゲ、お茶碗とグラスのみです。
そして、中華料理を食べるときに大活躍するレンゲですが、
このレンゲには正しい持ち方と、口への運び方があります。
レンゲは、スプーンの様に持たずに、人差し指をレンゲのくぼみにはめ込むように乗せ、
柄の部分を親指と中指で挟むようにして固定して使います。
そして、意外と多い間違いのひとつが、
レンゲの先端を口に差し込むようにして食べるスタイルです。
レンゲは唇と並行になるように口元に近づけて
手首を自分の方へ傾けるようにしてレンゲも一緒に傾け、スープや炒飯をいただきます。
この食べ方に慣れていないと、レンゲからスープや炒飯がボトボトッとこぼれますので、
一度、ご自分のスタイルを確認してみてはいかがでしょうか。
この正しいレンゲの持ち方、使い方でスープをいただくのですが、
このときに注意することがもうひとつ、あります。
中華料理のスープは、器やお椀をテーブルに置いたまま、レンゲでスープを掬い上げ、
レンゲのみを口元まで運びます。
お味噌汁をいただくときのように、お椀や器を直接口に付けるのはNGですし、
音をたてたり、レンゲの先端を口に差し込んでスープを流し込むのもNGです。
こうして覘いてみると全て簡単なことばかりなのですが、
丁寧に実践してみますと、日本食のお作法と動きが異なるため、
思うように口に運べず、動きがぎこちなくなることに驚く方もいらっしゃるのではないでしょうか。
中華をいただく機会、レンゲを使う機会がありましたら、
美味しく楽しくいただきながら、正しいお作法にトライしてみてはいかがでしょう。