家電量販店の中にあるAIスピーカーの前で立ち止まった。
子どもの頃に触れた漫画やアニメーションに登場するSFの世界と大差ない世界が、
私が思うよりもずっと近く、すぐそこまで来ているように思い、ひとり静かにワクワクした。
AIスピーカーに興味はあるのだけれど、デザイン性という部分で二の足を踏んでおり、
インテリアの邪魔にならないような、シンプルでさり気無いデザインのものは出ているかしらと、
情報収集も兼ねて、着々と増えつつあるデザインを見渡した。
すると、今にも購入しそうな顔をしてしまっていたのか、押せば買うだろうと思われたのか、
爽やかな笑顔の店員が、AIスピーカーの説明をし始めた。
次から次に繰り出されるAIスピーカー情報を聞きながら、
説明停止ボタンはどこに付いているのだろうと思ったその時、試してみませんか?と言われた。
もう少し好みのデザインのものが出たらと思っているから今日は遠慮しておくと伝えると、
せっかくだから試して帰って下さいと言われた。
そして、「では私が先に見本を」と言い、爽やかな笑顔と共に「オッケー、グーグル」と言った。
各社、「オッケー、グーグル」、「ヘイ、シリ」、「クローバー」、「アレクサ」など、呼びかけは決まっているけれど、
この呼びかけに違和感があるのか、ワタクシ、やはり人前で呼びかけるのは少々恥ずかしい。
そう言うと店員は、このようなものは慣れで、ペットだと思えばすぐに慣れると言った。
機能の説明を聞き、大きな声でAIスピーカーに向かって話しかける様子を拝見し、
妙な恥ずかしさを胸に、その場を後にした。
後日、この時の話を知人にすると、
日本人が音声操作に抱く思いを調査した結果が新聞で発表されていたと言っていた。
結果は、男女ともに6割以上が、人前で音声操作をすることを恥ずかしいと感じており、
男性よりも女性の方が恥ずかしさを感じる人が多いというものだったという。
日本人は幼少期から人の話は静かに聞くようにという教育のもと育っているため、
人前で話すことを苦手とする人が多い傾向にあるのだそう。
そして、この時に使う言葉が英語だと、その傾向は更に顕著になるという。
この辺りが無意識に働き、AIスピーカーを苦手に思うことに繋がっているという見方もあるのだとか。
これから着々と増えていくであろうAIスピーカーを搭載した家電、
私の生活に、ペット並みに馴染んでくれるのだろうか。
実家の母が、この手の家電を既に複数使いこなしており、
この子たちは賢いし、便利で、何でも言うことをきいてくれて助かると言っているところを見ると、
案ずるより産むが易しのようにも思えるけれど、
私は、もっと、自分を解き放つ必要がある、そう感じさせられるAIスピーカーである。
世の中の人々のAIスピーカー事情に、少々興味があるこの頃だ。
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